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犬養裕美子の冒険するレストラン

「世田谷バル」のオーナーが作ったカレー店 「リゾットカレー」目当てに早くもお客が殺到

「リゾットカレースタンダード」

2011年8月16日
「リゾットカレースタンダード」

リゾットカレースタンダード
東京都渋谷区桜丘町16-8 TEL:03-6416-3604
営業時間18:00~翌1:00L.O.、日休(月曜が祝日の場合は日曜営業、月曜休)

金曜夜19時。「リゾットカレースタンダード」にある16席のカウンターはすでに満席だ。そんな中、オーナーの高城直弥氏は次々にオーダーをこなしていく。常連と会話をかわす一方、初めての客にはワインを説明。片時も手を休めない。「もともと接客が好きなので、料理を作りながらお客と話をするのは慣れています。ここはバルですから、いかに早く出すかが大切。一品3分以内。それが自分に課したルールです」。高城氏のサービス精神が、この店の居心地をほかにないものにしている。

3年前、経堂にオープンした4坪の立ち飲み「世田谷バル」。これが高城氏の最初の店だった。驚くほど周囲に何もない住宅地ながら、週末になると足の踏み場もないほど客で埋まった。最高記録は24人。ワインもつまみもほとんどが500円均一という安さだが、人気の秘密はほかにもある。「おいしくないとリピートしてくれません。だから料理は注文があってから作るし、グラスワインは赤白各10種類揃えていました」。

グラスは5杯どりで、5杯目になるとグラスに並々注いでくれる。これがワイン好きの間で評判になり、町の寄り合い的なバルに成長した。

「リゾットカレースタンダード」がオープンしたのは今年5月。「リゾットカレーを世の中に広めたかった」と高城氏は言う。イタリアンを修業した氏自慢のオリジナルカレーであり、「世田谷バル」時代に、周囲の飲食店が参加したカレー大会で優勝した一品でもある。

リゾットカレー840円、アボカドとスモークサーモンのディップ~バゲット525円。グラスワイン525円、ボトル2500円

リゾットカレー840円、アボカドとスモークサーモンのディップ~バゲット525円。グラスワイン525円、ボトル2500円

牛乳、生クリーム、野菜のブイヨンで煮込んだご飯に、トマトソースベースのルーをかける。昔流行していたスープカレーがヒントだ。オーダーごとにていねいに仕上げるので、リゾットもソースもできたて。「子供からお年寄りまで、みなさんにおいしいと言ってもらえた。ぜひ新しい店で、これを広めたいと思うようになりました」。

物件を探していたところ、今の場所を紹介されて即決。広さは倍の8坪になったが、ゆっくり食事ができるよう椅子席のみにした。つまみとワインは525円均一(税込み)。リゾットカレーは840円。「みなさん、必ずこれでしめてくださいます」。

高城氏自身が「自分でも信じられない」ほど順調。その仕事っぷりを見ていると納得する。店主のパワーが人をひきつけ、人を動かしている。525円の料理でも作りたてになるよう心がける料理人としてのこだわりが、次はどんな名物メニューを生むのか。今から楽しみだ。

犬養裕美子

犬養裕美子(いぬかい・ゆみこ)レストランジャーナリスト。東京を中心に世界の食文化やレストランの最前線をレポート。農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」審査委員。飲食施設のアドバイスなども行う

(写真=前田宗晃)