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犬養裕美子の冒険するレストラン

神楽坂にできた高コスパのイタリアン 1050円ランチに「フォアグラのフラン」が付く

「ピアッティ・カステリーナ」

2011年11月8日
「ピアッティ・カステリーナ」

「フォワグラのフラン」。すべてのコースで味わえる。濃厚なフォワグラも、す~っと舌の上で消えていく

9月5日、神楽坂と江戸川橋に挟まれた場所に、「ピアッティ・カステリーナ」という新しいイタリアンレストランがオープンした。様々な“冒険”が詰まった、ユニークな店である。

本店は2009年9月11日にオープンした西麻布の「カステリーナ」。わずか2年で、2軒目が開店したことになる。

両店のオーナーシェフである大原易裕氏は大阪出身で、地元の名店を振り出しにイタリアの星付きレストランで修業した。帰国後も東京の数店でシェフを務めた。「カステリーナを開いた時に、2年後には2店舗目を出すと、スタッフに宣言していました。一緒に仕事をする仲間と、同じ目標に向かって努力したかったからです」。スタッフと休みの日も一緒に遊ぶなど、強い結束力がカステリーナの特徴だった。

大原氏は新店ではサービスを担当する。厨房は榎本奈緒子さんという、フランスで6年半修業した女性シェフに任せている。榎本さんは大原夫人の友人で、付き合いはフランス修業時代から。「(フランスで修業をしたのに)イタリアンのシェフになることに、戸惑いはありました。それでも(大原氏に)『おいしい料理を出すことだけを考えればいいから』と言われて、決心がつきました。大原さんの料理のスタイルが自分に似ていたことも、転身した理由の1つです」。そう榎本さんは話す。

大原氏は榎本さんに料理のアドバイスはするが、「あくまでも自分は、接客で店を盛り上げていく」と言う。

本店は客単価が1万2000円前後の高級店。新店はディナー8皿で5250円とリーズナブルな設定にしている。本店でワインがよく売れるようになったことを受けて、新店は料理に合わせたワインコースを用意。5種2500円、7種3500円とかなりお得だ。

本店の人気メニュー、「フォワグラのフラン」(フォワグラを卵、生クリームなどといっしょになめらかに濾してプリン風に仕立てたもの)を、新店ではディナーはもちろん、平日1050円のランチにも採り入れた。

「ピアッティ・カステリーナ」

ピアッティ・カステリーナ
東京都新宿区天神町68 TEL:03-6265-0876
営業時間11:30 ~13:30L.O.、17:30 ~21:30L.O.、日休

「イタリア料理にフォワグラ?」という意外性と口溶けの良さ、さらに1050円というコスパの高さで女性客に大人気だ。

大原氏の次の目標は「フォワグラのフラン」の通販だという。とかく慎重になりがちな時代だが、目標を持ち、それに向かって努力する。それが“冒険”の始まりであり、レストランとしての成長なのだろう。

犬養裕美子

犬養裕美子(いぬかい・ゆみこ)レストランジャーナリスト。東京を中心に世界の食文化やレストランの最前線をレポート。農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」審査委員。飲食施設のアドバイスなども行う

(写真=前田宗晃)