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犬養裕美子の冒険するレストラン

麹町「エリオ」が一番町に出した新店 カラブリア料理が、さらにお得に楽しめる

「エリオ・アンティカ・フォルネリア」

2011年12月6日
「エリオ・アンティカ・フォルネリア」

左はカラブリア風サルシッチャ( ソーセージ)1800円。唐辛子でピリリとした風味がカラブリア料理の特徴。右は明るい店内

東京・千代田区の麹町、番町は、目に付くのはオフィスビルばかりという地域だった。ところがこの1~2年、マンションが増えた影響か、飲食店が少しずつ増えてきた。

そんな一番町に10月3日、オープンしたのが「エリオ・アンティカ・フォルネリア」だ。本店は麹町の「エリオ・ロカンダ・イタリアーナ」。1996年にエリオ・オルサーラ氏が、故郷のカラブリア料理でもてなす家(ロカンダ)としてオープンした店である。

南イタリアそのままのサービスと料理を提供し、在日イタリア人に圧倒的な支持を受けている。一時期、恵比寿に出店していたが、今は撤退した。その理由が「閉店時間の問題」だったというのが興味深い。

イタリア人にとって閉店時間というのは「自然にお開きになる時間」のこと。はっきり決めないのが粋であり、これを「イタリアンタイム」と呼ぶ。ところが商業施設ではあらかじめ決めた時間ぴったりに閉めなければいけない。それが「何とも興ざめで、嫌だった」という。今回の店の閉店時間は、もちろんイタリアンタイムだ(ショップカードにちゃんと書かれている)。

この新店は間口こそ小さいが、テイクアウトの売り場と立ち飲みスペースがあり、奥には18席のテーブル席が広がる。売りは天然酵母のパン、そしてサンドイッチや惣菜だ。近くにケータリング事業部門のセントラルキッチンがあり、そこでパンや惣菜を作っている。サンドイッチ、サラダ、ケーキが入ったランチボックスが700円。1日中提供可能なので、昼に限らず売れるという。

「エリオ・アンティカ・フォルネリア」

エリオ・アンティカ・フォルネリア
東京都千代田区一番町4-36 TEL:03-3556-0672
営業時間11:00~22:00ごろ(イタリアンタイム!)、日休

テーブル席では、11時から15時のランチタイムにパスタ2種のうちの1種、サラダ、パン、デザート、コーヒーのセットを1200円で提供する。17時からはパスタなど料理に加えてワインも楽しめる。店長の十文字淳さんは本店のキッチンで5年修業し、新店のシェフ兼マネージャーに抜擢された。「麹町と一番町は歩いて5分ほどの距離ですが、雰囲気も客層も違う。こちらは家族客が多い」。カジュアルながら本店と変わらない南イタリアの味を安く楽しめる。ワインは南イタリアものが中心でグラスは600円から、ボトル3000円からとリーズナブルなのもよい。

飲食では、麻布十番、恵比寿、中目黒といった激戦区ばかりが注目を集めるが、実は、この麹町、番町といった一見地味な地域にも、さまざまな可能性が潜んでいる。それを「エリオ」は証明して見せたと言えよう。

犬養裕美子

犬養裕美子(いぬかい・ゆみこ)レストランジャーナリスト。東京を中心に世界の食文化やレストランの最前線をレポート。農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」審査委員。飲食施設のアドバイスなども行う

(写真=前田宗晃)