「日経レストランONLINE」は、「日経レストラン」の休刊に伴い、3月末日をもって更新を休止することになりました。長らくご支援を賜りました皆様に厚く御礼を申し上げます。

犬養裕美子の冒険するレストラン

スタッフが全員女性のデリカテッセン 田舎風パテなどを手軽にリーズナブルに楽しめる

「ターブル・オギノ」

2012年4月10日
ターブル・オギノ

人気メニューの根菜サラダ、タブレのサラダ(ともにSサイズ、380円)、タンドリー鴨(890円)。店舗は1階が惣菜、お菓子、パンの売り場、2階が25席のイートインになっている。

2007年に池尻大橋にオープンした途端、ディナー4500円の圧倒的なコストパフォーマンスが話題になり、予約が取れない人気店になった「レストランオギノ」。オーナーシェフの荻野伸也氏は「フランス料理をいかに身近に感じてもらい、楽しんでもらえるか」を考え、次々に新しい事業に挑戦してきた。2009年に店をすぐ近くの場所に移し、それまでの店舗を通販用の厨房にして、名物パテ・ド・カンパーニュ(田舎風パテ)を売り出したのも、その一つだ。この商品は地方からの反響も大きく、通販ビジネスに大きな可能性があることを実感したという。

荻野シェフは食を通じた社会的な活動にも関心が深い。北海道の余剰野菜や駆除された鹿の肉をカレーやシチューなどに使うレシピを考案。2011年から札幌で惣菜店のアドバイザーも務めている。

この経験を生かして今年2月3日、代官山にオープンさせたのが「ターブル・オギノ」である。1階が惣菜売り場、2階は1階の料理をセルフサービスで食べられるイートインになっているのが大きな特徴だ。パテ・ド・カンパーニュ630円、小鴨のハム700円、うずらのファルシ900円、フォワグラムース980円に加え、野菜をたっぷり摂れるサラダが380円からなど、リーズナブルなメニューが並ぶ。

ターブル・オギノ

「ターブル・オギノ」
東京都渋谷区代官山町14-10Luz代官山1・2F TEL:03-6277-5715
営業時間9:00~19:30、月曜休

もう一つの特徴は、店舗スタッフが全員女性ということ。「仕事はできるのに、結婚や出産を経ると、復帰したくても働く場がない女性が多くいる。方法を考えてあげれば、女性が働く場はもっと増やせるはず」。そんな思いが、この店に込められている。惣菜屋なら時間交替制で働くことができる。「安く、おいしくはもちろん、そこで働く人が幸せになれる店でありたい」と荻野シェフ。

ビジネスとしての成功と、地域や社会とのつながりを同時に追求する。荻野氏の試みには、新しいレストラン像のヒントが隠されている。

犬養裕美子

犬養裕美子(いぬかい・ゆみこ)レストランジャーナリスト。東京を中心に世界の食文化やレストランの最前線をレポート。農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」審査委員。飲食施設のアドバイスなども行う

(写真=前田宗晃)