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犬養裕美子の冒険するレストラン

ピッツァ激戦区中目黒にあえてピッツァ店を開店 お得なランチと炭火焼に、男性客も詰めかける

イル・ピッツァイオーロ中目黒店

2012年5月15日
イル・ピッツァイオーロ中目黒店

ピッツァランチは、大きく見えても軽く食べられるピッツァと温野菜、自家製パン。これで1000円とは格安!

中目黒といえば、全国的に知られた“ナポリピッツァの聖地”だ。遡るとその原点は1995年。ナポリピッツァの第一人者柿沼進氏の店である「サヴォイ」(現「聖林館」)と「サルヴァトーレ」(ナポリの3兄弟が経営。宅配で急成長)のオープンが端緒だった。

2004年にはワイン充実の「イル・ルポーネ」、2010年には世界ピッツァ選手権2連覇の山本尚徳氏の店「ダ・イーサ」など個性的な店が開店。そんな激戦区に昨年12月参戦したのが「イル・ピッツァイオーロ中目黒店」だ。

オーナーの舟木康二氏は2003年に三軒茶屋店をオープン。1階は薪窯ピッツァ、地下は手打ちパスタや炭火焼を楽しめるトラットリアにした。8年かけて地道に評判を上げていき、2号店を三軒茶屋周辺で探していたが、結局見つかったのは中目黒駅の商店街から入ったエリアだった。中目黒の目黒川沿いは若い客層でにぎわうが、店は3000円前後の安い客単価のところが多く、厳しい商圏。すでにピッツァの街として知られる中目黒に出店するのは大きな賭けだった。

薪窯ピッツァと備長炭の炭火焼きの2本柱でオープンしたところ、予想より高い年齢の客層に受けた。「昼はオフィスの男性客が多く、夜は会社帰りのグループと近くに住む地元の方。40歳以上の方が多いですね」とマネージャーの中塚五生氏は話す。ピッツァ1枚に温野菜と自家製のパンで1000円という格安のピッツァランチを目当てに、男性客が訪れる。夜はピッツァと炭火焼とで女性を含む多様なお客を集めている。

イル・ピッツァイオーロ中目黒店

東京都目黒区上目黒2-7-2ビルエット1F
TEL:03-3710-3321
営業時間11:30 ~14:00L.O.、18:00 ~22:30L.O(. 土曜~14:30L.O.,17:30~)、不定休

ピッツァはこの道10年の川口鉄平氏、料理は郷土料理をテーマにした素朴なメニューを鈴木智大氏が担当する。ちなみに薪窯は今、ピッツァ業界で最も人気のある日本橋のかまど職人・山宮裕氏が手がけた薪窯だ。小麦粉はイタリアのカプート社。万全の体制から作られるピッツァのおいしさもさることながら、備長炭で仕上げる炭火焼料理も売りだ。

手長海老1800円、牛リブロース2000円、鴨胸肉1900円、仔羊ロース肉2200円などもボリュームがある。グリリアミスタ(3種3200円)ともなるとテーブルに運ばれた途端に歓声が上がる。前菜も炭火焼も盛り合わせの値段はお値打ち。そこが単なるピッツェリアとの違い。食事としての充実度が考えられている。中目黒になかった大人のためのカジュアルなレストラン。それがこの店だ。

犬養裕美子

犬養裕美子(いぬかい・ゆみこ)レストランジャーナリスト。東京を中心に世界の食文化やレストランの最前線をレポート。農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」審査委員。飲食施設のアドバイスなども行う

(写真=前田宗晃)