「日経レストランONLINE」は、「日経レストラン」の休刊に伴い、3月末日をもって更新を休止することになりました。長らくご支援を賜りました皆様に厚く御礼を申し上げます。

犬養裕美子の冒険するレストラン

スイーツ好きが集う神楽坂のデザートレストラン 「4000円でも納得」のコースをご堪能あれ

ATELIER KOHTA

2012年9月11日
ATELIER KOHTA

デザートレストランの真骨頂、カウンター9席。

新しい店が次々に名乗りを上げる神楽坂。今年3月にオープンした「ATELIER KOHTA(アトリエコータ)」は、スイーツ好きの間で早くも人気の店になっている。ショーケースはいつも何を買おうか迷っている人々に囲まれている。しかし、この店の真骨頂は、奥のカウンター9席にある。

「アトリエコータ」はオーナーパティシエ・吉岡浩太氏による、デザートレストランだ。注文を受けてからお客の目の前でデザートを仕上げる。氏は明治記念館で修業し、「コンラッド東京」でイギリスの人気店「ゴードン・ラムゼイ」東京店のパティシエになった。そこからロンドンのラムゼイグループの店で1年働き、レストランにおけるデザートを学んだ。「料理があって、デザートが引き立つ。その流れが重要」。独立する時には絶対に“レストラン”としても対応できるカウンターを作ろうと決めていたのだという。

オープン時はデザート単品(クレープシュゼット950円、ノアゼットフィグ1050円など)と、期間を限定して4000円のコースを出していた(アミューズ、スープ、前菜、デザート1、デザート2、プティフール)。この9月からは、コースを月替わりにして毎日出すように変えた。「お菓子だけのコースという考え方もありますが、コースを楽しむなら、やはり料理の塩味があってこそ、デザートの甘味が引き立つ」。ちなみに9月はガスパチョ風ソース、ヴィシソワーズ、パテ・ド・カンパーニュ、そしてデザート2種にプティフールが出る。

前半の料理は味も軽く、色も鮮やか。パテ・ド・カンパーニュは鶏、豚、白レバーを使い、ホロッとした食感が特徴だ。ここにイチジクのキャラメルソテーやフロマージュブランのソースを添え、さらにローズマリーを載せて温めて提供する細やかさは、なるほどパティシエらしい仕事だ。これで4000円。高いと見るか、安いと見るか。

メインの肉や魚がないことを考えるとデザートに興味のない人には勧められない。しかし、デザート好きなら話は別。本来なら高額なフレンチでしか味わえないデザートを2品、この値段で味わえるのは価値がある。一人でもカウンターなら気後れもしない。日本の食文化の1つでもあるカウンターの店だからこそ、一人で対応することが可能。土日祝には朝から夜まで50組に対応する吉岡氏。デザートを切り口にした新しいレストランとして期待したい。

ATELIER KOHTA

「桃のスープ」(1050円、左)。「チョコレートとラズベリーのデザート」(1200円、右)

店舗DATA:ATELIER KOHTA東京都新宿区神楽坂6-25TEL:03-5227-4037テイクアウト10:00~20:00、イートイン平日16:00~20:00、土日祝11:00~19:00、テイクアウト無休、カウンターデザート月火休

犬養裕美子

犬養裕美子(いぬかい・ゆみこ)レストランジャーナリスト。東京を中心に世界の食文化やレストランの最前線をレポート。農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」審査委員。飲食施設のアドバイスなども行う

(写真=前田宗晃)