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犬養裕美子の冒険するレストラン

ブルターニュの郷土料理を紹介して17年 シードルをテーマにした新店が神楽坂に開店

ル ブルターニュ バー ア シードル レストラン

2013年1月15日
ル ブルターニュ バー ア シードル レストラン

魚介類のガレット アルモリケーヌソース(1950円)。三角形に焼いたモダンなガレットだ

2012年9月、神楽坂の路地裏にある民家が、シードルを楽しむレストラン「ル・ブルターニュ バー ア シードル レストラン」に生まれ変わった。この店のルーツはすぐ近くにある「ル・ブルターニュ」。1996年オープンのガレットレストランだ。両店がこんな小さなエリアで肩を並べるまでの17年、オーナーのラーシェ・ベルトラン氏は、地道に、大胆に店舗を展開してきた。

最初の店では、ガレットそのものを知る人がいなかったため、その説明から始めた。ガレットとは氏の故郷であるフランス北西部、ブルターニュ地方の郷土料理だ。そば粉、水、塩を溶いて薄く焼いた生地の上にさまざまな具を載せ、食事にも、デザートにもなる。小麦粉を使ったクレープは、屋台売りで、ティーンエイジャーのおやつといったイメージが定着していたが、ベルトラン氏はガレットを「大人の食事」として紹介。女性を中心に人気が出た。

2007年にはパリで人気の「プレッツカフェ」を日本に紹介。横浜、川崎、新宿、赤坂、名古屋、銀座などにショップをオープンし、ガレットをよりカジュアルに楽しめる店を拡大していった。そして10年2月に故郷ブルターニュ地方のカンカルに「ラターブル」をオープン。かつて西麻布「ジョージアンクラブ東京」でシェフを務めた久高章郎氏とともに、地方の豊富な食材を使い、日本の調理技術を生かした料理を提案した。試みは成功し、久高シェフは「ゴー・エ・ミヨ」(フランスで権威あるガイドブック)で「ブルターニュの若き才能賞」を受賞。ベルトラン氏は久高シェフの下で仕事をしていた堀越成久氏を神楽坂の新店のシェフに指名し、彼の料理を紹介することにした。

この店はシードルを約20種類そろえている。「今までにもガレットにはシードル、とお勧めしてきましたが、ここではさまざまなタイプのシードルを楽しんでいただければ」と広報担当の高橋悦子さんは話す。そのためランチのコース(2800円~)にも3種のシードル試飲セットが選べる。夜はグラス650円から用意し、気軽に飲み比べができるような値付けにしてある。

シードルもガレットも広く浸透させる第一段階を経て、さらにマニアックな段階へと進んでいる。日本のフードトレンドのサイクルの速さには目を見張るが、ホンモノが伝わるには時間がかかる。しかしかかった分だけ、足元はしっかりしている。トレンドよりトラッドは強いのだ!

ル ブルターニュ バー ア シードル レストラン

シックな店内。

犬養裕美子

犬養裕美子(いぬかい・ゆみこ)レストランジャーナリスト。東京を中心に世界の食文化やレストランの最前線をレポート。農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」審査委員。飲食施設のアドバイスなども行う

店舗DATAル ブルターニュ バー ア シードル レストラン東京都新宿区神楽坂3-3-6TEL:03-5229-3555 11:30~14:00L.O.、17:30~23:00L.O.(土日は11:30~23:00)、月・火休