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犬養裕美子の冒険するレストラン

下北沢にオープンした実力派ビストロ クスクスの圧倒的なボリューム感で連日満席に

クスクス ルージール

2013年2月12日
クスクス ルージール

写真は「炭火焼き仔羊のクスクス」(Mサイズ、2200円)。子羊肉が250gの塊で! クスクスは肉を煮込むものだが、炭火焼きのおいしさも堪能できる

大規模な再開発が進む下北沢。駅周辺はどこを見ても工事中で、この駅に降り立って食事を、という雰囲気ではない。元々20代、30代の若い世代が集まるエリアで、客単価3000円以内のカジュアル店が多い。そんなシモキタに昨年夏オープンした「クスクス ルージール」はテーブル12席、カウンター4席のフランス料理店。連日ほぼ満席と、価格が優先されるシモキタで大健闘している。「フランス料理といっても堅苦しい店ではないことを分かってもらいたくて、あえて店名に“クスクス”という料理名を入れました」。金子浩二シェフは言う。

店を開く際、物件を千駄木周辺などで探したが見つからず、最終的にシモキタになった。「駅から歩いて5分ですが、住宅街に入った静かなところが気に入って。ただしここでやるには、相当インパクトのある料理、内容でなければと考えました。それと、料理は一人でやることが大前提。作業的にも効率を考えて、クスクスをメーンに考えたんです」。

クスクスは、元々は北アフリカやモロッコ、アルジェリアの料理だ。小麦粉で作る粒状のパスタに肉や野菜を煮込んだソースをかけて食べる。フランスでもビストロ料理の代表として人気のメニューである。「自分が好きだし、最近は日本でも認知されています。店の名物料理はこれにしようと決めていました」。

金子シェフは現在44歳。ワインインポーター「エノテカ」のレストラン部門で総料理長を長年務め、西麻布のワインレストランのシェフを経て独立した。「やはり料理の現場に立つほうが楽しい。料理は自分一人、サービスは妻だけ。忙しいけれど、ストレスを感じずに仕事ができます」。

メニューはユニークな構成だ。前菜は1000円前後、メーンはクスクスが4種類。炭火焼き仔羊、メルゲーズ(ソーセージ)、大山ひな鶏半身コンフィ、串木野産甘鯛と浜名湖産アサリで、S(1400~2000円)、M(2000~4000円)、L(3600円)とサイズが選べる。「炭火焼き仔羊はMで250gの塊(Lは500g !)。2人でも十分な量」。その圧倒的なボリュームが話題を呼び、お客は全員クスクスをオーダーする。「ネットに紹介された影響もあり、こんな場所ですがワインも出ます」。客単価は5000円前後。リピーターも多い。「周辺からもいらしてくださるようになり、やりがいはあります」。ベテランならではの腕前で、シモキタに新風を巻き起こしている!

クスクス ルージール
犬養裕美子

犬養裕美子(いぬかい・ゆみこ)レストランジャーナリスト。東京を中心に世界の食文化やレストランの最前線をレポート。農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」審査委員。飲食施設のアドバイスなども行う

店舗DATAクスクス ルージール東京都世田谷区北沢3-21-5TEL:03-6407-198818:00~23:00L.O.、水休