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犬養裕美子の冒険するレストラン

今年はペルー料理にスポットが当たる 料理も空間も、知るなら“今でしょ!”

ベポカ

2013年6月11日
ベポカ

生魚をさまざまな唐辛子を使ったソースで楽しむセビチェはペルーの代表料理。赤貝のイカ墨セビチェなど7種類ほどで、価格は1800円~

ペルーといえば、インカ帝国の遺跡であるマチュピチュやナスカの地上絵などの世界遺産が思い浮かぶ。しかし最近はそれだけではない。TPP(環太平洋経済連携協定)の第17回交渉会合が5月に開かれた首都・リマは東京と変わらない都市で、飲食ビジネスも活況を見せている。

最も有名なシェフは、ガストン・アクリオ氏。彼の店は今年、世界中のレストラン業界の専門家が選出する「ワールド50ベストレストラン」で14位(昨年より21ランク上昇)。世界から注目を浴びる存在なのだ。

その風は日本にもようやく届き始めた。3月21日、原宿にオープンした「ベポカ」は、仲村渠(なかんだり)ブルーノさんと友人の西村春子さんが共同経営で始めた店。「東京のペルー料理レストランは、郷土料理が中心。僕たちは現代のペルーを紹介したいと思った」(仲村渠さん)。2人とも飲食業は初めて。システムエンジニアだった仲村梁さんは料理が得意で、レストランを開業したいという思いが募り、店を出すことになった。

1階はカウンター席とボックス席のバーで、2階はテーブル席のダイニング。黄色い壁の外観はリマの街並を彷彿(ほうふつ)とさせる。照明を落とした店内、ラテンミュージックのBGMも雰囲気たっぷり。日本のレストランはみんなバル化、カジュアル化していくが、こちらは逆に濃密な空間。それが逆に新鮮に見える。

また、モダンペルー料理は、盛り付けにも工夫を凝らした美しさを持つ。味はアヒという唐辛子を使いこなした“うま味”がポイント。キッチンは、ペルーから招聘された料理長と日本人シェフである谷口大明(ひろあき)さんの2人体制になっている。

谷口さんもペルー料理に魅せられた一人だ。「アルゼンチン、日本、スペインで育ち、子供の頃から料理人に憧れていました」。25歳から銀座のスペイン料理で5年働き、南米へ渡った。1年半かけてアルゼンチン、チリ、ボリビア、ペルーなどで修業。帰国してすぐにこの店に出会った。「ペルー料理は、魚、米、ジャガイモをよく使うので日本人の口にもよく合います。アヒ=唐辛子と訳すと辛い味だと思われがちですが、ちょっとニュアンスが違い、“うま味”としての役割もあるんです」(谷口さん)。

ペルー料理を修業してきた谷口さんが、タイミング良く参加したのも何かの巡り合わせ。ちなみに、深夜まで楽しめるとあって、デートスポットとしても使える。景気回復は、やっぱり夜遊び回復があってこそ!

ベポカ
犬養裕美子

犬養裕美子(いぬかい・ゆみこ)レストランジャーナリスト。東京を中心に世界の食文化やレストランの最前線をレポート。農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」審査委員。飲食施設のアドバイスなども行う

店舗DATAベポカ 東京都渋谷区神宮前2-17-6 TEL:03-6804-1377営業時間/月~木17:00~25:00L.O.、金土17:00~27:00L.O.、日休

(写真=前田宗晃)