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犬養裕美子の冒険するレストラン

パリで活躍の日本人シェフを大抜擢 思い切った改革でホテルが変わる!

ハイアット リージェンシー 箱根 リゾート&スパ「ダイニングルーム」

2013年10月8日
ハイアット リージェンシー 箱根 リゾート&スパ「ダイニングルーム」

「フランス産鳩のロースト、内臓入りソース、アンディーブのキャラメリゼ シナモン風味、カカオニブ」。ディナーコースの1品

最近、フランス帰りの料理人たちの動きが目立つ。この夏、最も話題になったのが金山康弘氏だ。在仏11年の間に「ラ・アストランス」「ル・ブリストル」で部門シェフなどを経て、最後の「ラ・ビガラード」では着任1年後にミシュラン1つ星を獲得。パリにいる若い料理人にとっては頼りになる“先輩”として、その人柄の良さでも知られた存在だった。

ところがその金山氏が、突如7月に帰国。「ハイアット リージェンシー 箱根 リゾート&スパ」の総料理長に着任した。世界中に支店を持つホテルグループでは、総料理長はグループ内で順次回っている。それがいきなり外部から招請されるのは異例の抜擢と言える。

その采配を振ったのが総支配人の野口弘子氏。ハイアット系ホテルで唯一の日本人女性総支配人であり、その発想力と行動力は常に周囲を驚かせてきた。「うちは80室の小さなリゾートホテルです。ここで必要な総料理長は、数百室の総料理長とは、要求される役割が随分と違います。開業から7年目を迎え、より食にこだわりたいと考えていたのです」。

そこで耳に入ってきたのがパリで活躍する日本人シェフであり、金山氏だった。すぐにパリに飛び、本人に会い、その謙虚な人柄と真面目な姿勢に確信を得たという。金山氏も、箱根という場所に引かれた。「山の中で自然を感じながら料理をする。そんな環境に魅力を感じました」。話はとんとん拍子に進んだ。

金山氏の料理はハーブを巧みに使い、印象的な香りの皿に仕上げる。皿の上も鮮やかな色の配置、時にシンプルに、時に楽しげなにぎやかさに。7月から徐々に“箱根キュイジーヌ”のスタイルに挑戦しており、評判はすこぶる良い。

今までホテルのダイニングは無難な味で合格点だった。しかし、能力あるシェフにとっては、素材に近い場所、興味深い環境であれば、逆に面白いと感じる。ホテルのダイニングこそ、こうした“冒険”が必要なのではないだろうか。パリ帰りの若い料理人が言っていた。「ホテルのレストランが面白くなったら、僕たちも働きたい。やっぱりサービスや体制がしっかりしたところで仕事をすることも大事だから」。金山シェフがどんなレストランに仕上げるのか、誰もが箱根に興味津々である。

ハイアット リージェンシー 箱根 リゾート&スパ「ダイニングルーム」

食事だけの利用も可能で、要予約。ランチ3955円、ディナー1万1300円~で、サービス料として13%かかる

犬養裕美子

犬養裕美子(いぬかい・ゆみこ)レストランジャーナリスト。東京を中心に世界の食文化やレストランの最前線をレポート。農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」審査委員。飲食施設のアドバイスなども行う

店舗DATAハイアット リージェンシー 箱根 リゾート&スパ「ダイニングルーム」神奈川県足柄下郡箱根町強羅1320 TEL: 0460-82-2000営業時間/11:30~14:00L.O.、17:00~21:00L.O.、無休席数/62席