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犬養裕美子の冒険するレストラン

中国料理と日本料理の良さを コース仕立てで味わう

の弥七

2014年9月9日
の弥七

杉大門通りと外苑東通りの交差点にある好立地の物件を、幸運にも手に入れた。ウグイス色の壁に大理石の床が印象的な内装だ

夜のコース6500円、9000円とも一皿目は胡麻(ごま)豆腐が出てくる。初めてのお客は「あれ、ここは中国料理の店だったのでは?」と首をかしげるが、味わった後に「なるほど、こういう中国料理もありだな」と納得する。すったゴマを吉野葛で固めた胡麻豆腐は濃厚な味ともっちりした食感が特徴だが、ここでは清湯(チンタン)で薄めて軽い仕上げにする。アクセントにワサビではなく、山椒(さんしょう)のペーストを添えると一気に中国料理の香りになる。

店主の山本眞也氏は高知県出身。実家が中国料理店を営んでいるので、自然に中国料理の道に進んだ。「東京に出てきた修業先のシェフが中国人で、上海の店を紹介してくれたんです」。日本人が中国で働くうえで、条件(給料は無給)はもちろんのこと、言葉や生活習慣の違いなど仕事以外にもさまざまな問題があった。「100人ぐらいの大きな厨房に日本人は僕一人。自分から動かないと、何も進まない。勉強になりました」。

1年半の修業を終え、帰国して白金「白金亭」1年、三田「桃の木」5年8カ月と2カ所の中国料理店で働き、今年7月10日に荒木町の一角に店を構えた。「初めて来たとき、この街の路地の雰囲気が、子供の頃、両親と食事に行った街によく似ていて、すぐに決めました」(山本氏)。

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