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犬養裕美子の冒険するレストラン

ワークライフバランスを考えた店づくり 気負わずにとびっきりの料理を提供

ラ・タルタルギーナ

2015年1月13日
ラ・タルタルギーナ

「焦がし小麦の自家製オレキエッテ 本日のソース」(1400円)。焦がし小麦が独特の香り。具はチェリートマト、ルッコラ、ジャガイモ。最後にリコッタチーズの塩味漬けを削ってかける

都内で今、最も勢いのあるエリア・神楽坂。2014年11月にはサザビーリーグ(東京・渋谷)と新潮社(東京・新宿)がコラボした複合型商業施設がオープンし、今までに見られなかった20~30代のおしゃれなカップルが集まってくるようになった。

しかし、今回注目したいのは“裏神楽坂”ともいうべき住宅街に、突如現れた「ラ・タルタルギーナ」。オーナーシェフは、ここで生まれ育った濱崎泰輔氏(40歳)。「以前、父がラーメン屋をやっていたんですけど引退して、自分が引き継ぐことになったんです。父はここでイタリアンは無理だって、大反対したんですが」。

外観は一棟丸ごとレストランのように見えるが、1階は8.9坪でキッチンとカウンター6席にテーブル8席。地下は6.7坪で12席の店舗。2~3階は住まいだ。

濱崎シェフは「アル・ポンテ」で4年基礎を学び、その後、先輩の影響でプーリア州の料理に興味を持ち、約1年間、渡伊。帰国して銀座の人気店「イゾラブル」でシェフを務め、独立した。銀座周辺で店を出せば、客層や価格帯も想定しやすい。あえて難しい場所を選んだのは「住まいと店を一緒にして家族といる時間を持ちたかった」から。2人の子供を持つ父親として、仕事も家庭も大切にしていける環境を選んだという。

その思いを込めた店は、体格のいいシェフからはちょっと想像しにくいが “カワイイ”。プーリアの陶器はちょっと厚めで花のような文様が描かれた素朴なもの。現地にオーダーしたナポリのランプシェードやタイルはビビッドな元気色。小さな空間には南イタリアの雰囲気がぎっしり詰まっている。

メニューは、ランチ2500円で「前菜、パスタ、セコンド、ドルチェ」。夜も内容は違うが、4皿で3900円。「この値段はずっと続けるつもり」(濱崎シェフ)というサービスメニューだ。

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