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犬養裕美子の冒険するレストラン

神楽坂の路地裏によく似合う 和を取り入れたチャイニーズ

「ENGINE」

2015年3月10日
「ENGINE」

ディナーコース(6200円)のふぐの唐揚げ(上)と前菜3種盛り(湯葉とピータン、ふぐの皮と日向夏、ハス芋と干しイチジクの胡麻和え)。ふぐは卵黄で下味を含ませると衣に色が出る。コショウのアクセントもいい

にぎやかな神楽坂から一歩入ると、小さな路地が張り巡らされ、情緒あふれる表情を見せる。その一角に2月1日、中国料理店「ENGINE(エンジン)」を構えた松下和昌オーナーシェフ(37歳)。「独立目標の38歳より少し早かったのですが、ちょうどいい場所、物件に出会えて決めました」。

小さな公園の隣にたたずむモダンな低層ビルの1階。上下とも飲食店が入っているが、当初、中国料理は断られた。「油で汚れるというイメージが強いので、取材を受けた記事をまとめて大家さんのところに持っていき、自分の料理は違うことを説明しました」と話す松下シェフは当時、赤坂「うずまき」に勤めていた。そこで、和の食材を使ったり、油を控えてあっさり仕上げたりした創作料理が注目されていた。その結果、無事に1階14坪の物件が決まった。

松下シェフは子供の頃、特に食に興味があったわけではなかった。高校3年生で進路を決める際、「将来、小さな店を持って幸せに暮らせればいい。街の中華屋さんのような店なら自分にもできそうだ」と思い描いた。そこで未知の世界、調理師学校に進み、卒業後は王道の中国料理店に入店し、基礎を学んだ。その後、話題になっていた創作中国料理の店で3年半。「基本を身に付けたうえで、日本人ならではの中国料理もあるんだ、と学びました」(松下シェフ)。

29歳でシェフに抜てきされ、和の食材を取り入れる自分なりのスタイルを少しずつ確立。そして、独立。夜は4200円と6200円のコースとアラカルトを用意する。ある日の6200円コースは、前菜3種、ふぐの唐揚げ、本まぐろのホホ肉の煮込み、揚げ湯葉の青のりがけ、魚の蒸し物、黒酢の酢豚(豚と牡蠣)、麺かご飯もの、デザート。「日本の素材を中国料理に変化させる」をテーマに献立を組む。

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