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犬養裕美子の冒険するレストラン

オープンして40年超の老舗ビストロ 9代目を迎え、最後の冒険

「ビストロ・ド・ラ・シテ」

2015年4月7日
「ビストロ・ド・ラ・シテ」

40年の歴史を誇る「サラダシテ」(2850円)。豚足やジャガイモ、アンディーブなどは温めてあるなど、意外に手をかけた一品

1973年、まだ飲食店もまばらな東京・西麻布に「ビストロ・ド・ラ・シテ」はオープンした。オーナーの関根進氏が「シテ」を前のオーナーから買い受けたのが31歳のとき。

あれから約40年。その間に六本木「オーシザーブル」もオープン、この2店でシェフを務めた顔ぶれといえば……信國稔大氏(「サレ・ポワヴレ」)、五十嵐安雄氏(「ル・マノアール・ダスティン」)、川崎誠也氏(「アラジン」)、谷昇氏(「ル・マンジュ・トゥー」)、古屋壮一氏(「ルカンケ」)、河井健司氏(アンドセジュール)など、いずれもそうそうたるメンツ。

今年1月には9代目シェフ探しのために、関根氏は店を1カ月間、閉めた。そんなことはこれまでなかった。「フランスまで行ったり、聞き込みしたり。でも、会ってみるとしっくりこない」。ちなみに面接では何をチェックするのか、教えてもらった。

「第一に好き嫌いがないこと。当たり前のことだけど、結構います。あれが食べられない、これが嫌い。さらに食べものに興味がない、これが一番困る」。料理を考え、創造する力もなければシェフとは呼べない。好き嫌いがあっては、料理の方向性もどこかバランスが崩れてしまう。

「第二に、お客さんの要望にできる限り、応えようとすること。レストランはお客さんを喜ばせる場所だからね」。メニューにないからできない、では成り立たない。これはオーナーとシェフが立つ店では最重要視すべきテーマだ。“すべてはお客様のために”。この方針が崩れると、店自体の方向性も揺らいでしまう。

「第三に声が大きいこと。自分の考えをはっきり言えないといけない」。関根氏も声は相当大きい。

「僕は面接で履歴書は見ないし、料理も食べない。この3つを見るだけ」。え、料理の腕前は試食でチェックしないの?「しない。料理は人を見れば分かるから。それより、うちの料理に合うかどうかを見るので」。

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