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犬養裕美子の冒険するレストラン

イタリアンでの経験を生かしながら 自身のスタイルを表現する女性シェフ

「ジュー・ドゥ・マルシェ」

2015年6月9日
ジュー・ドゥ・マルシェ

コースの一品「鎌倉直送釡揚げシラスのリゾット グラノパダーノのクロッカン添え」は、アツアツの小鍋で出て来る

東京・新宿から電車で10分ほどの曙橋駅から徒歩3分。靖国通りの合羽坂下にあるコンビニエンスストア「ローソン」から1本路地を入った場所に、10mほどの高さの近未来的建物が現れる。ロケットの発射台のようにも見えるビルの1階に、4月16日、フレンチレストラン「ジュー・ドゥ・マルシェ」がオープンした。

オーナーシェフは、榎本奈緒子氏(39歳)。こんな面白い物件によく出合ったものだ。「1年ほど前から東急沿線を中心に居抜き物件を探していたら、この物件が出たんです。以前もフレンチだったので、厨房も内装費もずいぶん抑えられました」。

榎本氏はフランス・リヨンの「ニコラ・ル・ベック」「レ・テラス・ド・リヨン」で修業した後、独立前に西麻布のフレンチで1年、神楽坂のイタリアンで3年半、シェフを務めた。イタリアンは友人の紹介。「抵抗はなかったですね。むしろパスタを勉強して自分の強みになればと思いました」(榎本氏)。

その店のスペシャリテは、フォアグラのフラン。榎本氏にとっては自然体で料理ができた。「イタリア料理も面白かったけれど、自分はフランス料理が好きなんだな、という再確認もできました」。

料理の評判もよく、やりがいはあった。が、厨房からテーブルの様子が見えないことに物足りなさを感じていた。「自分の料理をお客様がどんな風に楽しんでいるのだろう、と気になって」。独立するときは店全体が見られる造りにしたいと、榎本氏は考えていたという。

現在の店はキッチンからすべてのテーブルが見える。料理はおまかせコースのみ。ディナーは8皿構成の5800円、ランチはそこから1皿引いた7皿構成の3800円と2皿引いた6皿構成の2800円。特徴は中盤に出て来るリゾット。「季節の素材を盛り込んだリゾットは好評なんですが、お腹がいっぱいになってしまい、その後の魚、肉料理が食べられないと言う方も。どの順番で出そうか悩みますね」(榎本氏)。

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