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犬養裕美子の冒険するレストラン

白ホルモンやジビエなど東京仕様の炭火焼き肉のパイオニア

「炭火マルイチ」

2015年7月7日
「炭火マルイチ」

「ホルモン盛り合わせ」は5種類で1180円

15年前、店主の田島一彦氏が東京・杉並の方南町に店を出したとき、まだ飲食会社に勤めていた。「なんとかなるかと思っていたらとんでもない。忙しくて、まさに寝る間もなかったですね」。その勢いは、わずか9カ月で2店舗目を出すほど。何が当たったのか?

田島氏の店の特徴は、“塩で食べるホルモン”。当時は東京でホルモンを目玉にする店は数えるほどだった。しかも、ほとんどが味噌ベースのタレ。「鮮度がよければ、塩で食べるほうが素材そのものの味が分かります」(田島氏)。さらに女性でも食べやすい厚さ、大きさにカットし、焼き方を指南。テーブルごとに七輪を置き、炭火であぶるようにして焼く。

例えば、「ホルモン盛り合わせ」は、一皿に5種盛り合わせて出てくるが、部位によって焼き方が違う。「ホルモンとレバー、豚ムネはサッと、ギアラとシビレ(リンパ)はよく焼いて。一度焼いてみれば、だんだん自分の好みで焼けるのが面白いらしくて」と田島氏。女性はホルモンが苦手……と思いきや、この店では昔から女子会も珍しくなかった。

順調に見えた展開に、まさかの事件が起きた。BSE(牛海綿状脳症)だ。「あのときは、きつかった。先の見通しがきかなかったから。ただ、うちは最初から豚も鶏も置いていたので、牛はなくても営業はできたんです。それに北海道の知り合いにエゾ鹿の肉を送ってもらって出していたら、クセがなく柔らかくてワインもよく出る。以降、うちの売れ筋は一気にエゾ鹿になりました」(田島氏)。

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