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犬養裕美子の冒険するレストラン

1人で10年は続かない これからは「チームの力」に注目

犬養裕美子がみる 「未来につながるレストラン」

2015年9月15日

個人店は「10年続けば安泰」と思われてきた。10年も続いたのは、それなりに人が育った証拠。その店をスタッフに任せ、オーナーシェフはランクが上の店を作り、より充実した料理を目指すのが一般的だった。

ところが、最近は10年続けること自体が難しい。スタッフを育てても、任せる前に独立してしまう。人気はあっても、従業員が足りず、店を縮小したり予約を制限したりしなければならない店が増えている。

飲食店の担い手となる若者を取り巻く環境も、昔とは変わった。今はインターネットで給料や待遇のいい店をすぐに探せる。特にサービス業は人材派遣会社に登録したほうが容易に稼げる。

一昔前のように「うちのシェフの料理が好きで勉強したい」という熱心な子が来てくれるなんて期待しても無理──。人材派遣会社に頼めば、その場はしのげるが、店の空気が明らかに違う。しかも人材派遣会社に支払う金額はけっこうなもの。結局、常連客を相手に自分たちでもてなせる範囲の予約しか受けなくなってしまったレストランもある。

なぜ、若いスタッフは簡単に辞めるのか。ネガティブな意見としては、「修業後に自分の店を持つイメージが持てず、楽で安定した仕事先があれば、そちらに行きたい」人が増えた。その兆候は、料理人という仕事を選ぶ時点から見られる。あるシェフが調理師学校で「卒業後の進路は?」と聞いて愕然(がくぜん)としたという。その7割が「集団調理」と答えたためだ。理由は「時間も収入も安定しているから」。料理を作ってお客に喜んでもらいたい、という意識が感じられないことに驚いたわけだ。

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