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犬養裕美子の冒険するレストラン

地元の料理人が腕を振るう 遺跡内に生まれたレストラン

「一乗谷レストラント」

2015年12月15日
「一乗谷レストラント」

「一乗谷の栗」は床柱をスライスして加工した皿に季節の野菜や香りを載せている。だしで炊き、さらに薄衣をつけて揚げた栗はコクのある味。花やハーブは、店の裏の川べりで摘んだもの

新幹線効果に沸く北陸で、福井市は2020年開通に向けて、魅力ある“名所”づくりに取り組んでいる。その一手として、この秋に「一乗谷レストラント」をオープンさせた。

一乗谷は福井駅から車で10分。特別史跡や特別名勝、重要文化財に指定された極めて貴重な史跡だ。1471年から103年にわたって朝倉一族が治めた領地で、最盛期は人口1万人、京都、堺に次ぐ“大都市”だったという。それが1573年、織田信長によって焼き払われて消えた。そして400年後に発掘が始まり、戦国城下町跡がほぼ完全な形で残っている全国で唯一の場所として発掘は今も続いている。

ただし、遺跡内に新たに施設を建てることはできないため、せっかく来た観光客がくつろぐ場所がない。そこで管理センター内の食堂を、きちんとしたレストランにしようと県と市がプロジェクトを組んだのだ。その中心人物がソフトバンク、サントリー、トヨタなどのCMディレクター・佐々木宏氏。一乗谷を舞台にソフトバンクのCMを撮影し、その名を全国に広めた。今回も総合プロデューサーとして、さまざまな人をつないだ。建築家の大井初太郎氏、デザイナーの副田高行氏は佐々木氏が長年組んできた仲間。作陶家として最も人気のある一人、安藤雅信氏は副田氏と知り合いで、参加することになった。

店の運営は、地元の老舗料亭「開花亭」が担当。地元の素材を使うのはもちろん、和をベースに洋食を取り入れた新日本料理を提供する。昼コースは3500円、5500円、7000円と高価格。それだけに新しい味、サプライズを秘めた料理が求められる。「一乗谷の栗」(上の写真)のように季節感のある一皿や、「おでん」(大根のおでんに衣をつけて揚げ、パルミジャーノを削ってかけたもの)といった名物候補もある。また、料理に合わせたノンアルコールカクテル(お茶やジュース、ハーブを駆使した飲み物)とのペアリングも話題だ。

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