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女子大生あすみの飲食店再建日記

第13話 戻ってきた2人

2012年1月25日
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一大外食チェーンの経営者・小川昌一郎の一人娘・あすみの夢は、父の跡を継ぐこと。そんなあすみに、昌一郎は入社試験の代わりとして、営業不振の飲食店を再生させるいくつかのミッションをこなすことを命じた--。あすみが最初に出向いたのは「居酒屋三歩」。料理はそこそこ美味しいが、接客に課題を抱えている店だ。アルバイトとして働き始め、積極的に店舗改善の提案したあすみは、侑哉とサチの思わぬ反撃に遭い一時はくじけそうになるが、腹を割って話し合うことでようやくわだかまりがなくなり、チームは一つになった。

「とにかく、これで全員で前に進めるよな。」

「はい、店長、大丈夫です。あすみちゃんは許してくれるかな」

侑哉がしっかりとあすみの目を見据えて言った。

「反対に私も許してもらえるんですか」

「もちろんだよ。ごめんね、あすみちゃん。」

「ありがとうございます。生意気で本当にすみませんでした。でも…、私は店長からの提案として改善を進めてくださいと話をしてくださいって言ったんですよ。それなのに店長は、ミーティングのときにいきなり私に話を振るから…」

「えっ、そうだったの? じゃあそもそも店長がこの状態作ったんじゃん…」

「まぁまぁ雨降って地固まるってことで…」

「あんたが悪い!!!」

和やかな雰囲気で4者会談は終わった。

「よし、これから飲みに行こう。どうせ電車動いてないし。ご飯食べながらやり方を話し合おうよ」

「了解です。もちろん店長のおごりですよ!」

「だよな…。今月金欠なのに…。まぁパァッと行こう」

「私は未成年なので飲めませんが、ウーロン茶でお付き合いします。」

月曜日の朝礼には晴れ晴れとした表情の侑哉とサチがいた。

「今日はみんなに発表があります。店舗の運営体制についての話です」

友夫が満面の笑顔で話し始めた。

「まずアルバイトのリーダーを発表します。アルバイトのリーダーは侑哉にお願いします。」

「えっ!!」

みんながキョトンとした顔をした。

「では侑哉から一言お願いします」

「はい。えっと、みなさん、いろいろとすみませんでした。マイナスのことばっかり言ってしまって和を乱したりして。土曜日に店長と話し合って、もう一度心を入れ替えてやらせて下さいってお願いしました。こんな僕がアルバイトのリーダーをやらせてもらってもいいですか」

「もちろん賛成でーす」

あすみが真っ先に手を挙げた。少しざわついたが、あすみの一言で場がまとまった。

「もちろんっす。リーダー、これからもお願いします」

大石が持ち前の大声で賛成すると、みんなは拍手で応じた。

「では、今日から侑哉がリーダーということで。それとホールのリーダーはサチ」

「はい、私も色々とすみませんでした。辞めようと思ったこともあるけど、この店が大好きで…。一生懸命やりますから私も仲間に入れてください。憲一君、私も掃除手伝うから一緒にやらせてよ」

「マジっすか? 俺、掃除しか仕事がないんですけど…。まぁそこまで言うなら手伝わせてあげます」

「ありがとう。マジ意地悪だし…」

みんなが笑顔になった。

「で、あすみちゃんにはそのままホールのトレーニングを担当してもらいます。さあ、そういうことで一致団結して頑張ろう。売上もだんだん上がってきてるし、お客さんの評判もいい感じだよ。これもみんなのお陰です。この調子で行けば来月は売り上げ目標達成できると思うよ。開店以来悲願の売上600万円達成目指して頑張ろう!」

(つづく)

著者プロフィール

鬼頭誠司(きとう・せいじ)
1971年、名古屋市生まれ。1994年、愛知大学法学部卒業。大学時代から名古屋市で居酒屋を経営し始め、12年で20店舗・年商20億円に拡大する。現在、コンサルティングや受発注システムの運営を行うキューズファクトリーズ社長

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