「日経レストランONLINE」は、「日経レストラン」の休刊に伴い、3月末日をもって更新を休止することになりました。長らくご支援を賜りました皆様に厚く御礼を申し上げます。

編集部のマルチスコープ

ドリンクは「お冷や」「お茶」のお客が増えている?

(とある学生街など)

この季節になると、鍋料理やおでんを出す店に人気が集まりますね。
食材の旬とは別に、メニューごとに「よく出る季節(時期)」というのはあるもので す。たとえば、カレーは冬より夏のほうが売れ行きがいいでしょうし、チョコレート はバレンタイン効果も手伝ってか年間消費量の大半が冬に記録されています。

そして、クリスマスから年末にかけてのこの時期。さらにお正月、祭事、送別会・歓迎会などが続く4月頃までは、ケーキやアルコール類など「ハレの日」向けのメニューが好調に推移する・・・というのが、今までの常識だったはず。
ところが、師走に訪問した取材先で、私は思わぬシーンに遭遇しました。

私がケーキを食べるときは、ワンドリンク頼むけど……

それは、学生街の中心にあるケーキ屋さんでの出来事。
イートインもできるように小さなカフェスペースを設けたお店で取材をしていると、 学生さんの団体が入ってきました。クリスマスには早いけどなぁ? と思っていた ら、どうやらメンバーの1人のバースデーを祝うために集まった様子。
「すみません、これをホールでください」と、
ショーケースの中から好みのケーキを選びオーダー
と、ここまでは微笑ましい風景だったのですが。

「人数分に切ってください!」と頼まれた店主さんは、8つにカットし、丁寧にお皿に盛り付けてからテーブルへ。
そして「お飲み物は何になさいますか?」と、
幹事らしき青年に尋ねました。すると、
「あ、水で」と、きっぱり。
かたまる店主さん(と、私とカメラさん)。

イートインのときはワンドリンク頼むものだ
甘いケーキを食べるときはドリンクが欲しい
せっかくの「ハレの日」は消費をケチらない

と、30代・独身・仕事アリ・エンゲル係数高め
の私は考えていたのですが、どうも彼らは違う感覚をもっているようなのです。 ワイワイ盛り上がりながらケーキを食べ終えると、「カラオケいくぞ~」と去って いった学生さんたち。どうやらお金がなくて飲み物を我慢したわけではなさそうで す。

数日後。

「ケーキ屋でこんなことがあったんですよー」
「あぁ、うちのレストランでも増えてますねぇ」
「え! まさか」

会話の相手は、神戸・北野にあるフレンチレストランのシェフ。コース料理を食べに きた、けっこうな年齢のお客さまですら、
「飲み物は水でいい」とおっしゃるのだと か。

フレンチのコースならワインが似合う
北野まできたら、ちょっと奮発したい
酒に弱くても周りに合わせて何か飲む

と、30代・独身・仕事アリ・エンゲル係数高め(くどい)
の私は考えていたのですが、もう世間の価値観は、違ってきているようなのです。

数年前、道路交通法の改正で飲酒運転に対する罰則が重くなったときには、郊外型の レストランの客足が鈍ったり、飲食店のアルコール比率が落ち込んだりという現象が 見られました。そして、対抗策として低アルコールやノンアルコールのドリンクを強 化し、売上げを取り戻したお店も少なくなかったのです。
それが今では、飲み物自体へのオーダーがなくなりつつあるとは・・・!

食後の「水(おひや)」や「お茶」は無料という飲食店は多いでしょうが、有料ドリ ンクメニューが消失すれば、その提供量は増えるでしょうし、質を問われることが増 えてくるかもしれません。だからといって、「食後のお茶は有料です」なんて切り替 えるのは難しでしょう。
ドリンクメニューの行く末がヒジョーに気になった年末の出来事でした。

2005年12月26日|Posted by 服部 貴美子(本誌関西担当ライター)