食材原価の高騰による値上げは慎重に
昨今の食材原価の高騰は飲食店を運営する方々にとって非常に深刻です。食材のほとんどが値上げ傾向にあり、この状況はしばらく続きそうです。そんな状況の中、ほとんどの飲食店は価格設定の見直しを検討していることと思います。客単価の低いファストフード業態などは価格が10円単位で値上げしても消費者にとっての印象が変わってしまいます。値上げに対して現状では消費者も「しょうがない」と思う反面、景気が後退しているので消費を控える傾向にあります。飲食店にとって一番怖いのは、「値上げして、お客様の来店が減った」という結果でしょう。
お客様にとっては、同じメニューをそのまま値上げしたのでは値上げの印象のほうが強くなりすぎます。盛り付けなどのポーションコントロールや提供方法にも工夫して価格の再設定をすることをお薦めします。
一般に同一メニューの価格をそのまま値上げすると、やはり当初は客数が減少することが多いです。でも、客単価と客数の前年対比を調べてみてください。多くのお店が両方とも減少していることに気づくと思います。やはり値上げには周到な対策が必要です。
そしてタイミングも大切です。この4月~5月にかけては多くの飲食店が価格の見直しを行うと思います。自店だけ値上げの時期を遅らせると、余計に悪い印象を与えてしまう可能性もあります。やはり4月~5月をメドに値上げの検討・実施をすると良いでしょう。
値上げ幅の決定は重要です。1つの例を上げます。あるお店のランチタイムのメニューは10種類で価格帯は900円~1200円。街場によくある飲食店の価格設定だと思います。
そのお店が食材原価の高騰により全メニューの価格を100円ずつ値上げしたとします。するとメニュー価格はすべて1000円以上になってしまい、リーズナブル感がなくなってしまいます。ランチタイムは1000円でお釣りがくる位の価格設定だと利用しやすいですが、それを超えるとイメージ的に来店頻度を控える傾向にあります。
では、原価を工夫して850円~950円のメニューを導入するのはどうでしょう。10種類のうちの7種類を値上げして、残りは価格の安いメニューにする。このような戦略でメニューの価格改定を考えているお店もあるでしょう。しかし、結果として、1000円以上になってしまった今までのメニューが出数が減少し、値上げ感による割高感から客数を減らし、安いメニューを注文するお客様が多いため客単価も減少したというケースも多いのです。
単純な値上げより、提供方法、サービス、メニューの提供方法、盛り付けなどの見直しが先決だと私は考えます。食材原価高騰により、売上対原価率がどのくらい上がったでしょうか。もう一度検証してみてください。
私は普段1%に対しての感覚についてよく話をします。日商約30万円強のお店として、月商1000万円。そのうちの1%は10万円です。年間にすると120万円になります。
営業利益から120万円が減ってしまうのです。では純利益で120万円を稼ぐには、どれくらい売上を出せばよろしいですか? 食材原価の高騰によりだいたい1.5%くらい原価率が上がっている飲食店が多いのではないでしょうか。
できるなら、値上げ失敗による売り上げ落ち込みという危険をおかすよりは、経費管理を厳しくすることで、コストを削減し、食材原価の高騰分を吸収したいところです。
現在は飲食店にとって、厳しい環境です。お互い頑張りましょう。
2008年4月15日|Posted by 小島 由光
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