「食べログ」やらせ投稿を考える
明けましておめでとうございます。編集長の三橋です。
新年早々、飲食店の人気ランキングサイト「食べログ」のやらせ投稿問題が大きく報じられました。店の評判を上げるため、金銭を受け取って好意的な口コミ投稿を請け負う業者が数多く確認されたというものです。
このニュースに接した飲食店経営者が抱いた感想は「何をいまさら」でしょう。やらせ業者からのセールスを受けた経験を持つ飲食店はそれほど多くに上ります。
この一件は本質的に、「食べログ」自身が解決すべき問題だと思います。匿名で不特定多数の意見を集める以上、そこには必ずやらせの余地が生じます。「食べログ」を運営するカカクコムは、やらせ業者に対して「法的措置も視野に入れて対応する」とコメントしていますが、やらせ業者を根絶するのは不可能ですし、飲食店の経営者や関係者が書き込む口コミを法的に禁じることはできないでしょう。人々の評価を商品化している以上、口コミサイト自身が、やらせ投稿の影響をできる限り小さくできるよう、評価システムをより精緻なものにしていくのが本筋です。
さて、そのうえで、飲食店経営から見たこの事件の本質とは何でしょう。やらせ業者を使って評価を上げようとするのは、それだけ「食べログ」の影響力が強いからです。ゆえに、やらせ業者に月10万円にも上る報酬を支払う。ですが、店の利益率が20%として月10万円の支払いをバランスさせるには最低でも月50万円の増収が必要です。客単価3000円の店なら、月170人の集客増が求められます。そこまでの効果を上げられる“腕の良い”業者は滅多にいるものではありません。
仮に、評価が上がって新規客が一時的に増えても、それが実態を伴わないものなら、リピーターにはなってくれません。それどころか、期待を裏切られたお客による、辛らつな評価が「食べログ」に殺到するリスクを抱えます。やらせ事件が報じられたいま、「やらせ水増し評価の店」という不名誉なレッテルを張られる恐れすらあります。
ツイッターやフェースブックなどのツールを使いこなし集客に役立てている経営者は、ネットの有効性と怖さの両方を身にしみて知っています。怖さとは端的に言えば、大勢の目に晒されるネット上の言葉は、嘘や隠しごとが容易にバレるということです。やらせ業者の甘言に乗ってしまった経営者は、その意味でネットに無知だったと言えるでしょう。「インターネットのことはよく分からないから専門業者に任せよう」というわけです。
はっきり言いましょう。やらせ業者は、「インターネットのことはよく分からない」という飲食店を“カモ”だと考えています。無知につけ込まれた店は被害者には違いありません。しかし、ネット上の様々な情報を吟味してお客が店を選ぶ時代、ネットは飲食店にとって必修科目になったのだと思います。
2012年1月12日|Posted by 日経レストラン編集
あなたのご意見をお聞かせください
「お名前」(ニックネームでも構いません)、「メールアドレス」、「コメント」は必須入力項目です。「お名前」と「コメント」は、原則としてそのまま日経レストラン ONLINEに掲載いたします。「メールアドレス」は公開しませんが、編集部から連絡を差し上げる必要が生じた際のために、必須入力項目としております。なお、日経BP社は、読者の皆様からの投稿の内容につきまして、その信頼性、適法性などを一切保証せず、何らかのトラブルが発生した場合でも一切責任を負いません。皆様の自己責任においてご利用願います。なお、サーバーのメンテナンスの都合により、掲載コメントは翌年末に削除させていただきます。その他、投稿に関する諸注意はこちらをご覧ください。










