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編集部のマルチスコープ

海外出店続く「丸亀製麺」、機動力の源

こんにちは。日経レストラン編集部の宮坂賢一です。

先日、讃岐うどん店「丸亀製麺」を展開するトリドールが東京都内で開いた記者会見に参加しました。

最初に挨拶をした粟田貴也社長は「5月末現在で丸亀製麺は777店となった。中期計画で掲げた1000店舗の目標達成を狙える段階に来た。そのためにどうやって次の飛躍をするか、大きな分岐点に来ている」と自社の現状を語りました。

「丸亀製麺」は店舗数が増える中で店が集中する地域も出るなどして、既存店売上高の前年比は低迷が続いています。次の一手として同じ「粉もの」の業態である天ぷら定食の専門店やパンケーキカフェなどの展開を始めるとともに、人口減少が見込まれる国内市場にとどまらず、積極的に海外展開も進めています。

こうした成長戦略で面白いと感じたのは「丸亀製麺の機動力」という視点でした。

粟田社長によると「店内で麺や天ぷらを作っているので、工場の場所や物流に縛られることなく、自由に出店できる。海外に出店するにも、店1軒を出すだけで済むので投資額も大きくならずに済む。広く浅く世界各地に出店し、その中でフィットしたと感じる場所に重点的に店を増やしていく」というのです。こうして各国に店を出すことにより、うどんに対する関心の高さ、事業を共同で展開するパートナーの実力を見極める目が身に付くそうです。

さらに、この積極的な海外出店は国内事業拡大のヒントにもなっています。2013年12月、トリドールは埼玉県ふじみ野市にパンケーキカフェ「Kona's Coffee(コナズ珈琲)」を開きました。「丸亀製麺」4店が競合して既存店売上高が伸び悩んだため、そのうちの1店を新業態に切り替えたものです。

実は、米国ハワイに出店している「丸亀製麺」のスタッフらが、現地のパンケーキ店を徹底的に研究してこの新業態を開発したそうです。都心部では本格的なパンケーキカフェが定着しましたが、郊外でハワイ仕込みのパンケーキ店はほとんどありません。そこに商機を見出し、「丸亀製麺はすべてパンケーキ店にしたいぐらい」と粟田社長が冗談を飛ばすほど、好調だそうです。

「丸亀製麺」が店内で麺や天ぷらを作り、香川県の讃岐うどん店と同じ「手作りの味」を強みにしていることはよく伺っていましたが、その店舗づくりが次々と海外展開を進める同社のフットワークを支える基盤になっているのは新鮮な驚きでした。

なかなか新しい業態の確立が難しい外食業界では、効率的に試行錯誤ができる機動力の強化が、大事なポイントになっているように思います。

2014年6月12日|Posted by 日経レストラン編集