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ファミレス的要素を取り入れる

日経レストランの太田憲一郎です。6月15日に、都内の「大戸屋」でランチを食べました。店内はほぼ満席。サッカーのワールドカップで日本代表が初戦に敗れた日でしたので、どこかのパブリックビューイングなどから流れてきたらしい、青いユニフォームのお客が目立ちました。

私の隣のテーブルには、まだ歩き始めたばかりの男の子を連れた若い母親が座っていました。ほどなくして、隣のテーブルに運ばれてきたのは、キッズメニューでした。

とても意外な感じがしました。「大戸屋」と言えば、幅広い年代の大人に向けた定食店という印象を抱いていたからです。メニューブックをめくると、キッズメニューが4種類並んでいました。パフェなどのスイーツもかなり充実していて、店の奥には数種類のソフトドリンクを提供するドリンクバーが設置されていました。大戸屋の特徴である店内で調理する定食の良さはそのままに、“ファミレス的”要素を巧みに取り入れているように感じました。

ファミレス各社が最近好調なのはご存じの通りです。幅広い世代のお客が楽しめる種類豊富なメニューに加え、最近は朝食や高級食材を使った高単価の料理など、メニューの種類と質を高める努力を続けてきました。一部の店は改装してイメージチェンジを図っているところもあります。こうした施策の効果で、一時は魅力のないレストランの象徴のように言われていたファミレスが、お客の支持を取り戻しているのです。

私が訪れた大戸屋の店舗のように、個人店にとっても、好調なファミレスから取り入れるべき点は多いのではないでしょうか。幅広いお客から支持されるメニューのラインアップももちろん学ぶべきポイントだと思いますが、差し当たって取り入れたら良いと思うのは、ドリンクバーやサラダバーです。

ファミレスがこれらを導入して以降、低価格化が進んだことから、これらのサービスにあまり良い印象を持たれない人も多いかもしれません。しかし、人手不足で悩む飲食店にとって、これらは省力化の手段として見直す価値があると考えます。

実際、ランチのときに、コーヒーなどのドリンクバーやサラダ、総菜などをビュッフェ形式で提供する店が最近目につくようになりました。紙コップを用意して、コーヒーは無料でテークアウトできるようにしているところもあり、好評のようです。忙しいランチタイムにスタッフの負担を減らすには効果的ではないでしょうか。

大切なのは、個人店の良さを残しつつ、上手にファミレスの要素を取り入れることだと思います。人手不足と客数減に悩む飲食店にとって、ファミレスはヒントになるはずです。

2014年6月19日|Posted by 日経レストラン編集