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編集部のマルチスコープ

50円の割引が人手不足を解決する?

日経レストラン編集部の太田憲一郎です。

飲食店の人手不足は相変わらず深刻なままです。人手不足による休業を避けるには、スタッフの作業を減らし、少しでも少人数で運営するための工夫が大事になります。

そうした工夫が優れていると感じるのが、回転すしチェーン「くら寿司」です。同チェーンでは、テーブルの横に皿を回収するための穴があり、お客が食べ終えた皿をそこに落とす仕組みになっています。この穴に皿を5枚入れるごとに、テーブルに設置された小型モニターにキャラクターが表示され、矢を放ったり、魚釣りをしたりします。的に矢が命中したり、魚を釣り上げたりしたら、カプセルに入りの小さなおもちゃがお客にプレゼントされます。

このゲーム感覚が楽しく、小さな子供も皿を進んで穴に入れて片付けます。会計時には、食べた皿の枚数が小型モニターに表示されるので、ホールスタッフは、テーブルに残った汁物のお椀やグラスなどの数だけを確認すれば金額を計算できます。家族では何十枚にもなる皿を数えなくて済むので作業時間を短縮でき、テーブルを片付ける作業も大幅に軽減できます。エンタテインメントの要素を加え、ホールスタッフが行う作業の一部を、お客に手伝ってもらうというわけです。

「くら寿司」の仕組みを個人店でそのまま導入するのは難しいかもしれません。ただ、お客を楽しませながら作業を手伝ってもらうという発想は参考になると思います。

先日利用した郊外のビュッフェレストランが導入していた「お客に手伝ってもらう」仕組みは個人店でも取り入れられそうです。その店では、食事を終えたお客が、食器を分類してテーブルの上に重ねれば、会計金額を50円割り引いていました。

周囲を見ていると、多くのお客がテーブルに皿をまとめていました。家族連れが多い店なので、親子で一緒に食器を並べる様子が見られます。普段はおもちゃをなかなか片付けられない我が家の子供達もこの時は積極的に手伝ってくれました。

割引額は50円ですが、「ご協力お願いします」というだけでお客のメリットがなければ、皿を重ねる作業をするお客は少ないように思います。この、わずか50円の差額に、お客を動かす力があると感じました。実際に皿を重ねてテーブルがすっきりしたのを見ると気持ちがよく、少しだけ良いことをした気分も味わえます。

店が広い割にスタッフの数は少なく、お客が皿を重ねてくれることで、かなり作業負担が軽減されているようです。

セルフサービスの店でない限り、お客に片付けさせるのは、本来の姿ではないかもしれません。しかし、どうしても人手が足りなければ、お客が進んでスタッフの作業を手伝いたくなるような工夫も必要ではないでしょうか。

2014年9月18日|Posted by 日経レストラン編集