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編集部のマルチスコープ

飲食店は子育て中の主婦を支援できるか?

日経レストラン編集部の太田憲一郎です。

少し前に、衣料専門店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが、今後、正社員の1日4時間程度の短時間勤務を認めるなどして、子育てや介護をしながら働く女性を幹部に多く登用したりすることを目指すという報道がありました。

子育てや介護をしている正社員には、4時間勤務を認めるほか、1店舗に複数の店長を置くことも検討し、長時間勤務できない社員でも店長にできる体制を整えていくという内容です。すでにユニクロでは、多くの主婦が働く姿を見かけますが、これがさらに加速することになるのでしょう。

この報道を読んで思い出したのが、以前、取材をしたKUURAKU GROUP(千葉市)が運営する「生つくね 元屋 町屋店」で働く女性スタッフのことです。彼女はベテランアルバイトでしたが、店長の激務ぶりを見て正社員になるのは無理だと諦め、店を辞めようとしたことがあります。そんなとき、8時間勤務で週休2日という勤務条件の「準社員」制度がKUURAKUにあることを知り、制度を活用して入社。店で働き続けることができました。

この女性スタッフは、子育てや介護などの制約がなくても正社員になるのを諦めかけたぐらいですから、子育てや介護中の女性は、接客や調理の仕事が好きでも、飲食店で働くのは無理とはなから諦めている人は多いはずです。

さらに、もう一つ思い出したのが、やはり以前取材をした、ある地方で十数店の飲食店を持つ経営者です。その経営者が上京した際にお会いしたのですが、その目的を聞いて驚きました。「都内の保育園を見学しに来た」と言うのです。

なぜかというと、子育て中の主婦を積極採用するため、自社で保育所を運営することを検討していたのだそうです。その地方でも人手不足が深刻で、主婦を活用できるかどうかが生き残りのカギになると考えてのことでした。

結局、その経営者はいろいろ調べた結果、難しい面が多いと分かり、自社で保育所を運営することを断念したそうです。他業界の企業では、自社で保育所を運営する例がありますが、10数店ほどの規模の外食企業でこうした考えを持っているところはあまり聞きません。実現できなかったとはいえ、先進的な外食企業の経営者は、ここまで考えているのかと感銘を受けました。しかし、見方を変えれば、そこまで人手不足で追い詰められているとも言えます。

ファーストリテイリングのような異業種の企業が、主婦の活用に積極的に動いている以上、人手不足がますます深刻になる前に、外食企業は何らかの手を打つ必要があると思います。

2014年11月20日|Posted by 日経レストラン編集