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海外のチャンスは「おもてなし」だけでない

ご愛読ありがとうございます。日経レストランの戸田 顕司です。

昨年11~12月にかけて、海外で日本食・食文化の普及に務める料理人を顕彰するイベント「いただきますの日」(主催:農林水産省)で、ロンドン、シアトル、ジャカルタに行きました。

このイベントを通じて、海外で活躍するシェフや料理評論家の方々と出会うことができました。それぞれ、料理に対する造詣がとても深く、発する一言一言が勉強になりました。

その中に、ユニークな取り組みをしている1人の日本人シェフがいます。イギリス・ロンドンでレストラン格付け本「ミシュランガイド」の一ツ星を取っている日本料理レストラン「UMU(ウム)」の石井義典エグゼクティブシェフです。

石井シェフが掲げるキーワードが「レボリューション・オブ・フィッシュ・アンド・チップス」。ご存じの方も多いと思いますが、「フィッシュ・アンド・チップス」はイギリスの名物料理の1つで、タラやカレイといった白身魚のフライとポテトフライの組み合わせです。イギリスではファストフードとして、多くの人に愛されています。

その「フィッシュ・アンド・チップスで革命を起こそう」と、日本人の石井シェフは言うのです。

そのポイントが、日本ならではの、魚の鮮度を維持して調理する考え方と技術です。石井シェフがロンドンで働き出したとき、日本のように鮮度の高い魚がなかなか見つからなくて困ったそうです。そこで、石井シェフはわざわざ漁港にまで行き、魚を探しました。

そこで分かったのが、漁師が魚の扱いに詳しくないこと。海で釣った魚をそのまま船に積んでおき、漁港で初めて氷を敷き詰めたクーラーに入れていたのです。つまり、船に氷を積んでいないため、どんどん魚の鮮度が落ちてしまっていました。

それだけではありません。料理人の調理技術も重要です。魚を苦しめずに処理して血を抜く「活け締め」によって、鮮度を維持し、生臭さをなくすことができます。

こうした日本の品質管理と調理技術があれば、フィッシュ・アンド・チップスがもっとおいしくなるというのが、石井シェフの主張です。これは視点を広げれば、日本が持っているノウハウが広がれば、世界各地の豊かな食生活に貢献できるということにほかなりません。

飲食店の海外進出というと「おもてなし」という接客サービスに注目が集まりますが、強みはそれだけでなく、さまざまな可能性を感じています。日経レストランでは、こうした動きも含めて、飲食店業界の活性化につなげていきたいと考えています。これからもよろしくお願い申し上げます。

2015年1月8日|Posted by 日経レストラン編集