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編集部のマルチスコープ

生産者に近づけばチャンスが広がる

ご愛読ありがとうございます。日経レストラン編集長の戸田顕司です。

2月26~27日にかけて、東京・東銀座のカフェ「Cafe Serre(カフェ・セレ)」にて、イタリア・モデナの生産者と、日本の飲食店関係者や小売業者をマッチングするクローズド形式の商談会を開催しました。モデナは、自動車メーカー・フェラーリの本拠地としても有名です。

生産者と個別に、試食や試飲をしながら商談を進めていくスタイルだ

生産者と個別に、試食や試飲をしながら商談を進めていくスタイルだ

2度目の開催となる今回、来日したのは、モデナの特産品であるバルサミコ酢、微発泡の赤ワイン「ランブルスコ」、イタリアチーズの代表格である「パルミジャーノ・レッジャーノ」、最高級の生ハム「クラテッロ」の生産者です。来場したスーパーマーケットの担当者に話を聞くと、「前回の商談会で知った商品を社内で提案したところ、ほとんどを扱おうとなった。今回も注目していた生産者ばかりでよかった」と満足気でした。

さらに、「マズドーラ」と呼ばれる女性が、手打ちパスタの実演を行いました。1つは、トルッテリーニというパスタ。豚肉や生ハム、パルミジャーノ・レッジャーノを具材として小さな餃子のように包み、肉のブロードで食べます。もう1つは、全粒粉を使ったタリアテッレ。伝統的には、ラグーソースと組み合わせるそうです。

商談会では、マズドーラが手作りしたトルッテリーニ・スープが、流通バイヤーや料理人など参加者に振る舞われました。「素朴というのではなくて、シンプルで洗練されています。上質なパルミジャーノ・レッジャーノやクラテッロの特長が生かされた本物です」。こう語ったのは、東京の大手シティーホテルでメーンダイニングを任されているシェフ。「芸術は、何か加えることで作り上げるよりも、そぎ落として作るものだと思っています。この感覚です」と評価しました。

来日したマズドーラのファビアーナ・フェッラリーニ氏。今回、実演したトルッテリーニは、冷蔵庫の残り物を具材にしたのが起源だという

来日したマズドーラのファビアーナ・フェッラリーニ氏。今回、実演したトルッテリーニは、冷蔵庫の残り物を具材にしたのが起源だという

さて、この料理を提供する女性、マズドーラですが、「初めて聞いた」という人がほとんどではないでしょうか? 実はこれ、モデナの“方言”で、料理から掃除、家計など家をまとめる役割を果たす女性を意味します。日本語訳すると「肝っ玉母さん」といったところでしょうか。

もっとも売れる料理は、見栄えやちょっとした工夫、特徴的な味の打ち出しが必要になります。マズドーラは、昔ながらの家庭料理を守るだけでなく、新しい料理を作り出す存在でもあって、モデナではレストランを開業して人気となっている“凄腕”もいるとのことです。

今、「産地直送」が飲食業界のキーワードの1つです。視点を、国内にとどまらず、世界に広げることでまだまだ料理の可能性は広がりそうです。「日経レストラン」では誌面による情報発信だけでなく、さまざまな形での情報提供をしていきたいと考えています。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

2015年3月5日|Posted by 日経レストラン編集