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編集部のマルチスコープ

人手不足解消の特効薬は「スキル習得」

日経レストラン編集部の宮坂です。

3月11日で、東日本大震災の発生から4年となりました。徐々に高台の住宅への移転が進み始めた地域もありますが、本格的な復興はまだこれからです。被災された皆様、各地に避難されている皆様の日常生活が一日も早く穏やかなものになりますよう、心よりお祈り申し上げます。

以前の取材では、食材も設備も満足に使えない中で震災の翌日から営業を再開し、地域の人々に喜ばれた仙台の居酒屋のお話などを伺ったことがあります。また、多くの飲食店の方がボランティアで東北地方に向かい、炊き出しをされていました。食事には、不安な気持ちをほっと落ち着かせる力があると改めて感じています。

さて、好評連載「だから飲食店はおもしろい」の取材で、「リゾットカレースタンダード」などの繁盛店を運営するサムライフードサービス(東京・世田谷)の高城直弥社長のところにお邪魔しました。2015年も、飲食業界は人手不足が大きな課題になるという見方を示しながらも、ご自身は人手不足の影響はあまりないと話します。

なぜならば、同社が運営する店を訪れて「店全体が楽しそう」「自分が独立するための勉強になる」と感じて、この店で働きたいという希望者が安定的に現われるのだそうです。

「かしわビストロ バンバン」にお邪魔すると、テンポのよい音楽がかかって居酒屋やビヤホールのような盛り上がりを見せる一方で、料理は高城社長らの経験を生かしたビストロ料理がリーズナブルな価格で提供されます。高城社長も自ら店に立ち、注ぎ口からこぼれるほど、なみなみとワインを注いだ「こぼれデキャンタ」などの人気メニューを、「うちの売りはこれですから、試してくださいよ」とまるで居酒屋の大将のような元気さでプッシュしてくれます。

最近は高級店でしか見かけなかった料理をうまくアレンジしてリーズナブルな価格で提供する「バル」「ビストロ」といった業態が人気を集めています。高級店で修業をした料理人たちも、自分たちが独立するなら、個人経営のレストランよりも「かしわビストロ バンバン」のようなリーズナブルな業態で安定的な集客ができる店を作りたいと思っているのではないでしょうか。

3月7日にオープンした、すかいらーくの新業態であるコーヒー店「むさしの森珈琲」でも、似たような話をお聞きしました。同店は、リッチな朝食メニューで知られる「サラベス」などでおなじみの「エッグベネディクト」から安価なトーストまで幅広く朝食に力を入れ、夜はアルコールも提供。近隣に住む人々の軽食需要を丸ごと取り込もうという意欲的な業態です。

同店があるのは横浜市の郊外。同グループのファミリーレストランなどでは人材確保が大変なこともあるそうですが、「むさしの森珈琲」の場合は募集定員の2.5倍も応募者が集まりました。すかいらーくの谷真社長によると、「この店ならば、新たなスキルが身に付くから働きたいと考えた応募者が多かった」のだそうです。

こちらも、コーヒーの抽出法など、今後ますます増えそうなカフェ業態で役立つスキルが身に付きそうな点を応募者がしっかり理解している点が、求人がうまくいっている理由ではないでしょうか。

飲食店は、就職希望者が実際に店を訪れて自分が働く場所の雰囲気や仕事内容をしっかり吟味できる業態であることに特色があります。それだけに、働いてくれるスタッフに、いかに役立つキャリア経験を積ませることができる店になれるかが、人手不足時代の求人対策として、ますます重要になると思います。

2015年3月12日|Posted by 日経レストラン編集