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編集部のマルチスコープ

席幅から考える繁盛の仕組み

こんにちは。日経レストラン編集部の宮坂です。

4月を迎え、本誌編集部に配属となってからまる2年となりました。繁盛店を目指す皆様により役立つ情報をお伝えすべく、取材を続けていきたいと思います。

異動になった当時、飲食店の取材経験が豊富なライターの方と情報交換をしていて、印象に残ったことがあります。「取材のとき、私はいつもこれを持ち歩いてるんです」と、巻き尺をポケットから取り出したのです。それまでの取材活動では、巻き尺を使う場面は少なく、かなり驚きました。

最近になって、この巻き尺の重要性がようやく腑に落ちるようになってきました。

先週お会いしたある飲食店オーナーも、日頃から巻き尺を持ち歩いているとのこと。親しい同業者が新店を開いた際などは、「測っていい?」と了解をもらったうえで、テーブルや座席まわりの寸法を調べることがあるそうです。

飲食店の席幅は65cm前後が一般的ですが、この席幅をどの程度に設定するかでお客の滞在時間が変わり、店の売り上げを大きく左右するからです。

お客の回転率を上げたいファストフード店のカウンターなどは、席幅がやや狭くなっています。混み合っているほうがお客が集まってくる居酒屋などでも、わざと席幅を狭くしてお客をぎゅっと詰め込むことがあるそうです。居酒屋の場合は、隣のお客との距離が近づいて話が盛り上がり、しかも席数を増やせるので売り上げも伸びやすいという利点もあるそうです。

一方、ゆったりと長時間くつろいでほしい高級なレストランなどでは、席幅を広くとっている店が多いようです。

ただし、最近は業態の多様化により、席幅に対する考え方も幅広くなっていることは間違いありません。同じ「バル」でも、席幅を狭くして回転率を高めている店もあれば、ゆったりとした席幅にして高級感を出している店もあります。

また、「お一人様」のお客を取り込むためにカウンター席を増やす居酒屋が増えていますが、お客にくつろいでほしい一方で、回転率を高めなければ売り上げは伸ばせません。

席幅を調べることで、見た目の印象だけでは分からない、繁盛店オーナーの考えている儲ける仕組みが具体的に浮かび上がってきます。

2015年4月9日|Posted by 日経レストラン編集