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編集部のマルチスコープ

現場を無視した販促キャンペーンにはリスクがある

こんにちは、日経レストラン編集部の太田憲一郎です。

先日、ランチを食べようと店を探しながら繁華街を歩いていたら、ラーメン店が「替え玉無料キャンペーン」を実施していました。開店5周年を記念して、替え玉を何回でも無料で提供するという内容でした。私も“替え玉無料”に心引かれて入店してみました。

ランチには少し遅い時間でしたが、店に入ると席の9割は埋まっているという状況。「さすがに、替え玉無料の効果は大きいんだな」と感じました。ただ、店内に何やら殺伐とした空気が立ち込めていました。ホールのスタッフは、忙しそうに客の間を行ったり来たりしていて、疲弊した表情をしています。お客のほとんどが替え玉を注文していて、スタッフはその対応に追われているのです。

私もラーメンを注文し、さらに店内を観察していると、替え玉を何回も立て続けに注文しているお客が1人いることに気づきました。このお客は、私が見ている間に3回は確実に替え玉を注文していました。私の入店前からいたお客です。さらに、このお客は、替え玉の提供が遅れ気味なことに腹を立て、スタッフを何度も呼び止めては、険しい表情で詰問しています。

他にも2回、3回と替え玉を繰り返すお客が数人いて、厨房とホールの作業量を超えているのです。おおよその状況が分かり、私はスタッフを気の毒に思いました。

飲食店が、お得度の高い割引キャンペーンを実施すると、それだけを目当てにする“バーゲンハンター”が集まりやすいと聞きます。その結果、必ずしも期待通りに再来店を増やすことにつながらない場合が多いようです。先のラーメン店の場合も、こうしたバーゲンハンターの標的にされている印象を受けました。

おそらくラーメン店の経営者は、お客に日頃の感謝を伝えたい気持ちはあるものの、現場の声を聞かずに今回の5周年記念キャンペーンを実施したのではないでしょうか。特に、替え玉の数に制限を設けず、「何回でも無料」としたところにそれを感じます。回数の制限を設けるだけで、スタッフの負担はかなり軽減されたはずです。

現場の状況を考慮しない販促キャンペーンは、集客効果が薄いだけでなく、スタッフの離職にもつながりかねないことを経営者は肝に銘じるべきです。

2015年4月16日|Posted by 日経レストラン編集