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編集部のマルチスコープ

仕入れ先開拓にチャンスあり

こんにちは、日経レストラン編集部の宮坂です。

先週末は大阪に出張し、取材の合間に大阪・曽根崎の飲食店街「お初天神裏参道」に伺いました。お初天神通り商店街は数多くの飲食店が立ち並ぶ賑やかな通りですが、その通りにつながる「お初天神裏参道」のある場所は少し前まで何もない薄暗い路地だったそうです。そこを誰もが気軽に立ち寄れる街にしようと地主の方が動き、大阪中から繁盛店ばかりを集めて3月20日にスタートしたのが「お初天神裏参道」です。3月20日にオープンしたのは第1期分で、今後さらに大阪各地の繁盛店がこの路地に集まることになりそうです。

これまでも出張の際に「お初天神裏参道」を通っていたのですが、夕方に店に入る時間があったのは初めて。わずかな時間でしたが、取材の合間に、その路地の中ほどにある「焼とんya たゆたゆ お初天神店」に立ち寄ってみました。

同店は、大阪・千日前~日本橋の辺りに飲食店が集まる、いわゆる「ウラなんば」の名称を浸透させた川端屋商店(大阪市)が運営する焼トン(豚)居酒屋です。本誌4月号の「地方発繁盛店」で紹介した「日本橋ビアホール」や「大阪焼トンセンター」と同じ会社の運営で、大阪では珍しい豚肉や豚ホルモンの串焼きやモツ煮込みなどを売りにしています。

実は、2年ほど前にも本誌の繁盛店紹介欄で「たゆたゆ」を紹介しようかという話が出たことがあります。しかし、当時の私は「東京なら焼トンの店はたくさんある。大阪の店なら他にも取り上げるべきところはあるはず」と考えて別の店を紹介していました。同社グループの「ウラなんば」などでの繁盛ぶりを目にするにつけ、もう少し早く紹介しておくべきだったと感じている次第です。

料理を食べてみると、もつ煮込みは臭みもなく、よく煮込まれてトロトロ。焼トンの串もホルモンの新鮮さが感じられ、豚肉や内臓肉の品質にこだわっていることがよく伝わってきました。同社は「焼トン業態」をスタートさせるために、鮮度のよい豚ホルモンの調達先を探すのにだいぶ苦心したようです。何とか調達ルートを開拓し、できるだけ良い状態の食材を使って「焼トン」になじみのない大阪のお客においしさを浸透させてきたことが現在の繁盛につながっているように思います。

一般には食材の高騰が続いており、仕入れ先の食品問屋との価格競争はもう限界という声もよく聞きます。しかし、「たゆたゆ」の豚ホルモンのように、これまで周辺の飲食店があまり使っていなかった食材に注目し、それを丁寧に調理して人気商品に育てることができれば、他にない売りが生まれ、しかも食材コストを下げられる可能性も出てきます。こまめに現地を訪問し、優れた仕入れ先を開拓することにはまだ大きな可能性がありそうです。にぎやかな店内でもつをほおばりながら、そう感じました。

本来なら、余計なことを考えずに、ゆっくり店を楽しむべきかもしれませんが。

2015年6月11日|Posted by 日経レストラン編集