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編集部のマルチスコープ

タブレット端末でもメニューブックの基本は同じ

こんにちは。日経レストラン編集部の宮坂賢一です。

飲食店にも、IT機器が着実に浸透し始めました。先日利用した、ある飲食店ではタブレット端末が客席に1台ずつ配置してあり、お客が自分で食べたい料理や飲みたいドリンクを注文する仕組みになっていました。

シックな内装で、店に流れる音楽はジャズ。そんな空間でタブレットを使って注文するのは一見スマートで優れていると感じました。

しかし、注文を始めてみると、いくつか気になる点が出てきました。

まず、注文用アプリの操作がこなれていません。おそらく、紙のグランドメニューを元にアプリを作成したのでしょう。料理の「カテゴリー」を切り替えるには、「←」「→」の矢印ボタンを何回もタップしないといけません。各カテゴリーから2~3品を頼むためには、1品頼んだら、矢印を何度も押す。もう1品頼んだらまた矢印を何度も押すの繰り返しです。これでは、ゆったりとした気持ちで食事ができません。こうした複数ページに分かれたメニュー構成にするなら、画面のどこかを指でこする(スワイプする)と、ページが切り替わるといった動作のほうがカテゴリーの切り替えがスムーズで注文しやすい気がしました。アプリの開発は、システム業者に任せきりにせず、途中で必ず使い勝手を試してみるべきではないでしょうか。

さらに不便に感じたのは、タブレット端末上のアプリに料理やドリンクの説明が見当たらなかったことです。利用した店は、独自のアイデアに基づいた創作料理やドリンクが多く、料理名やドリンク名だけではどんな味なのかがよく分かりません。

結局テーブルの端に立ててあった紙のグランドメニューを開きながら、タブレット端末を手に持って操作する状況になりました。フロアースタッフ不足を解消するためのタブレット端末なのかもしれませんが、紙のグランドメニューを手にフロアースタッフを呼んで注文したほうがよほどスマートであるように感じました。

6月末に発売した書籍『飲食店完全バイブル 売れまくるメニューブックの作り方』で、著者は「メニューブックはオーナーが考えている通りに料理やドリンクを注文してもらい、店を最も優れた形で体験してもらうためのガイド役」であると言います。さらに「お客様を戸惑わせないためには、料理の説明や料理名へのふりがなの追加などを細かくすることが大事」とも指摘します。

タブレット端末という新しい入れ物を使ったとしても、内容を分かりやすくしてお客を導くというメニューブックの基本は紙のメニューブックとまったく同じ。その基本がきちんとできていなければ、いくら見た目で新しさを強調してもお客は店を快適に楽しむことはできません。この店のタブレット端末を操作しながら、そう感じました。

2015年7月9日|Posted by 日経レストラン編集