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編集部のマルチスコープ

知恵一つでお客がくつろげる店ができる

こんにちは。日経レストラン編集部の宮坂です。

先日、東京・渋谷で取材をした帰りに、楽コーポレーション宇野隆史社長の下で修業をして独立したコジマ笑店(東京都武蔵野市)の代表、小嶋崇嗣さんが8月にオープンした「大衆酒場 酒呑気まるこ」に伺いました。

小嶋さんは、吉祥寺、昨年の高円寺に続いて、今回は渋谷で3店目をオープン。順調に店を広げられています。

渋谷駅からは近いのですが、駅直結のビル「渋谷マークシティ」の近くにある雑居ビルのちょっと奥まった場所にあり、知らずに伺うと通りすぎてしまいそうです。にもかかわらず、夕方18時ごろには近隣の会社員らしき方々が三々五々店を訪れ、次第に店はにぎわってきました。

こちらの店が面白いのは、商品の提供方法です。フードメニューは「刺し身」など、その日のお薦めを書いた日替わりメニューがありますが、メニューブックはありません。すべてのフードメニューは、カウンター席上の壁面いっぱいに1品ずつ短冊に書いて張り出してあります。昔ながらの居酒屋なら、長押(なげし)の辺りに短冊がずらりと並ぶ風景はよく見かけますが、壁面全体の短冊が“押し寄せてくる”、こちらのスタイルは迫力満点。フードメニューの張り出し方一つで、店に活気を出せるのはとても賢いアピール方法だと感心しました。

ソフトドリンクの売り方にも特徴があります。カウンター前に水を張り、そこにホッピーやウーロン茶、バイスなどのソフトドリンクが漬けてありますので、お客はスタッフにひと声かけてから、飲みたいドリンクの栓を抜くという方式です。ここにおいてあるソフトドリンクは、スタッフの方に「中ください」と声をかけて焼酎を割って飲むことができます。お客は店の仕事に協力することも楽しみながら、ゆっくり飲んでいます。

商品の提供方法一つで、お客はぐっとスタッフとの距離感を縮めることができ、自宅で飲んでいるようなゆったりくつろいだ気持ちになれる。いくつも繁盛店を出しているオーナーらしい知恵と工夫を感じた訪問になりました。

2015年10月15日|Posted by 日経レストラン編集