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編集部のマルチスコープ

「シェアする関係」が店を強くする

2016年もよろしくお願い申し上げます。日経レストラン編集長の戸田顕司です。

静岡県沼津市の人気イタリア料理店「Ristorante SUOLO(リストランテ・スオーロ)」では、“耕作放棄地”を食材の仕入れに活用してます。シェフの梅原宜之氏は、生産者が高齢になって使われなくなったであろう畑を見つけると、了解を得て、自ら耕して肥料をまき、苗を植えます。後は、高齢の生産者に「たまに水をあげてくださいね」とお願いして、世話をしてもらうのです。

こうして収穫できるのはイタリアンパセリやミント、セルフィーユ、レモンなど。この無農薬で育てたレモンで作る自家製レモンチェッロは、店でも大人気の一品です。梅原シェフはお礼として、料理やお酒、ケーキなどを高齢の生産者に渡しているそうです。

東京・神保町の定食店「未来食堂」では、ドリンクの持ち込みが無料としています。ただし、条件が1つあって、持ち込んだドリンクの半分は店やほかのお客に“おすそ分け”することを義務付けています。

この“おすそ分け”によって、たまたま居合わせたお客同士が会話するきっかけになりますし、店にとってもドリンクの品ぞろえに伴う負担を軽減できるという側面もあります。

「SUOLO」や「未来食堂」のように、供給する生産者と仕入れるシェフや提供する店と支払うお客という取引関係ではなく、お互いが持っているモノをシェアし合う補完関係を成立させることでお互いにメリットを享受できるというわけです。

ここに来て、自宅を宿泊所として貸し出す「Airbnb(エアビーアンドビー)」、自家用車で“タクシー”のように送迎する「Uber(ウーバー)」など、シェアリング・エコノミーを象徴するサービスが台頭しています。

こうした「シェア」という世の流れを、飲食店としてどう取り入れていくか。ここに、コスト削減や集客のヒントが見つかりそうです。

2016年1月7日|Posted by 日経レストラン編集