違いがわかる店の本格焼酎考

「プレミア銘柄が欲しい!」
「売れてる焼酎が欲しい!」
「客寄せできる焼酎はある?」

本格焼酎の販売を通じて、こうした質問をよく飲食店さんから受けます。正直に言いますと、この手の質問にはうんざりさせられます。赤提灯的居酒屋さん、創作料理の居酒屋さん、和食割烹、日本料理店、洋食レストラン、中華レストラン……。焼酎を提供しているお店は多岐にわたりますが、どういうわけか、メニューに掲載されている本格焼酎は、どこもかしこも同じような銘柄です。

ワインのように、生産地の特徴やブドウの品種などを基にしたり、魚料理と肉料理との相性から考えられた明確な選定基準があるわけではありません。特に芋焼酎は料理を選ばない、ある意味、万能タイプのアルコールです。そうした性格だからこそ市民権を得て、ブームになったという背景もあります。そこにワインのような選定基準を持ち込むのは、料理のプロとして正しい選定基準なのか疑問が残ります。

ただそうは言っても、料理に個性が出せて、お酒の個性が出せないことはもったいないと思いますし、いい酒といい料理は「1+1=2以上の効果」をもたらすことも、事実です。

この連載では、これまで数多くの蔵元たちと取り組んできたことや現場で見てきたこと、そして販売の場で実践してきたことなどに触れながら、本格焼酎に対して何かしらの選択基準を身につけていただき、本格焼酎の本当の魅力を知っていただければと考えています。

幻という選択基準

幻だから? 希少性があるから? 人気ブランドだから?……本格焼酎選びのポイントは人それぞれ、お店それぞれあるかと思いますが、自分にあった、あるいはお店に合った本当の焼酎選びができているでしょうか?

平成13年頃から訪れた本格焼酎ブーム。当時は、芋であればなんでも良い、幻の酒がありさえすれば集客できるという時代でした。あれから5年以上が経ち、本格焼酎ブームも落ち着きを取り戻し、市場では数多くの特徴のある“タレント”が揃ってきました。当然のように、幻の酒の威力、人気だけが先行した有名銘柄の勢いは弱くなっています。しかし、一方で飲み手はより特徴のあるもの、より味わいの深いもの、より安価で旨いものなどと、焼酎に対する要望が一段と強くなってきています。ある意味、飲食店の目利きとしての力量が問われてきていると言ってもいいでしょう。

こうした状況になっているにも関わらず、「メニュー表に銘柄名と値段しか書いていない」「オススメの焼酎の理由が、希少性、幻、有名だからだと言ってしまう」という飲食店がいまだに多く見かけます。本当にこのような状況で良いのでしょうか?

最近は各蔵元がより個性的な、より意欲的に新しいタイプの焼酎を誕生させてきています。今こそ“ひとつの尺度”をもって焼酎選びができなければ、せっかく育ってきたお客様の興味、そして要望に応えることができないばかりか、銘柄に埋もれてしまい、店の個性を発揮できず、ややもすると本格焼酎の魅力を半減させてしまいかねません。

蔵元や酒販店ほどの専門知識を持つ必要はありませんが、飲食店として「焼酎を知っている」から「焼酎がわかっている」という段階に入ることは、繁盛店になる必要十分条件なのだと思います。さして難しいことは何もありません。「焼酎がわかる」ということ、それは「本格焼酎の本当の魅力を知る」ということなのです。次回はその魅力について具体的に触れていくことにします。

2008年8月18日|Posted by 庄司 岳

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