料理の鉄人、中村孝明さんが考える今春以降のメニュー戦略
2月24日(月)、東京ビックサイトで開催された「ホテレスジャパン」において、「日経レストランメニューグランプリ」のプレイベントを行いました。
詳しくは、「日経レストランオンライン」でリポートしていますのでご覧いただきたいのですが、その中で料理の鉄人、中村孝明さんのトークセッションを開催しました。
孝明さんには未曾有の不況の中で、お客を引き付けることのできる料理や儲けられるメニューの条件について語ってもらいました。たくさんの興味深い話があったのですが、今日はそのエッセンスをお伝えしましょう。
【テーマ1:食材高騰時代の低原価料理】
・不況で利益が減ったり食材価格が高騰したからといって、安易に原価率を低減させるのは危険。客離れを起こしかねない。店の経営戦略に合わせた原価見直しが必要。
・看板メニューの原価を下げるのはご法度。メニュー全体で強弱をつけ、最終的に目標の食材原価率に落とし込むことが大切。
・ダイコンやニンジンの皮、魚の皮など、従来捨ててしまっていた材料を生かすメニューを考える。おいしいものはいくらでも作れる(「日経レストランオンライン」の歴代メニューグランプリ受賞者、入賞者によるレシピを参照してください)。
・これはテクニック論だが、盛り付けや器使いなどを工夫してボリューム感を出すなど、見た目を工夫するのも一つの手。ある店では定番料理に入っている複数の食材の量を、それぞれ従来の5分の4にして、お客様に不満を感じさせずに原価率を抑制することに成功している。原価率を下げるために従来のメニューから特定の食材を間引くと、お客様はすぐに気づいてしまう。均等に減らすのがミソ。
【テーマ2:女性客を引き付けるメニュー】
・女性はたくさんの種類の料理を少しずつ食べたい。大盛よりも品数で勝負。
・女性客は流行にシビア。「この店には常に新しい料理がある」と感じさせるために、メニューは最低でも1ヵ月に1度は見直す。
・女性は季節感にも敏感。春夏秋冬を感じさせるメニュー提案や盛り付けを考えるべき。
・ポイントはデザート。業態を問わず、デザートのメニュー開発には力を入れたい。ウチの店ではフルーツだけをデザートとして出すようなことはしていない。
【テーマ3:デザート~もう一品を誘う注目食材】
・どんな業態でもデザートは重要。女性はデザートで店の評価を決めることも少なくない。安易に済ませようとすると自分の首を絞めることにつながる。
・質の高いデザートは、お客様を呼ぶ切り札メニューになることも珍しくない。原価率も抑えやすいので、気合を入れてメニュー開発することを勧める。
・キーワードは「ヘルシー」と「華麗」。
・野菜を使ったデザートは、根強い人気がある。
・意外性を感じさせることも大切。ウチでは小豆とエスプレッソを合わせたぜんざいを作り、豆乳を使った甘い豆腐にかけて提供したところ、大ヒットした。
・旬、季節感を意識することは大切。
料理の鉄人で有名になった孝明さんですが、新しい料理作りには未だに強いこだわりを見せます。
「料理のジャンルにこだわるばかりの時代は、とうに終わった。和洋中といった枠にとらわれない、長く愛される料理を作らなければならない。もし私が今18歳だったら、まず10年間は和食店で修業して、その後5年間はフレンチ、さらにその後5年で中国料理の基本を学ぶだろう。そして、自分の店を開き、様々な視点から新しい料理、店作りに挑んでみたい」
企業経営において一つのことを極めることは、王道中の王道でしょう。しかし、不況の今「新しいものを提供しよう」という意識が薄れたときに、企業の成長が止まってしまうことも真実であることを、我々はもう一度、見つめ直す必要があるのかもしれません。
2009年3月4日|Posted by 高柳 正盛
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