評価を急激に変えた接客の一部始終
先日、ある寿司店で昼食を取ったときのことです。広々とした店内のテーブル席で一人、寿司を食べていると、突然こんな女性の声が響き渡りました。
「××(声の主の名前です)、ただいまより本日のシフトに入ります。よろしくお願いします!」
「えっー?!」。思わず、寿司を吹き出しそうになりました。
「だめだろう、そんな身内の挨拶がお客にしっかり聞こえちゃ」と、瞬間的に思ったのです。
この子は新しいアルバイトなのかな、どんな仕事ぶりなのだろう…。何となく気になって、その人が働く様子をしばらく眺めていました。
すると、どうでしょう。実に良く働くのです。動きはきびきびしているし、接客の感じも明るく気持ちいい。こまめに席を回り、お茶を汲んだり、追加の注文を取ったり、あっという間にフロアの中心的な存在になっていました。
そんな様子を見ていると、だんだんこんな風に勘ぐりたくなってしまいました。最初に大声を出したのは、もしかするとお客にも「私が今から働きます。何なりとお申し付けください」と訴えようとしたのではないか、と。
まあ、まさかそんなことはなかったのでしょう。たまたまお客に声が聞こえたのだと思います。 編集部に帰ってからこの話をしたのですが、やはり「それは考えすぎですよ、高柳さん」という意見が大半でした。
身内の挨拶がお客に丸聞こえるのは、やはり一般にはよくないことでしょう。でも、その店を出るときに、最初に受けた「仕事はまだまだで、びっくりするようなことをする子」という印象がすっかりなくなっていたのは、紛れもない事実です。むしろ「ごちそうさま。仕事、大変だろうけれど頑張って」と一声かけたくなるような気にさえなっていました。
その日は「接客って、不思議なものだ。そして、実に奥深い」とぶつぶつ言いながら、帰社することになりました。
さまざまなことを考えさせられた出来事でした。
【今週のちょいメモ】
これまで「編集長のマルチスコープ」としてお楽しみいただきましたこのコーナーですが、次回から、ちょっと季節はずれの衣替えをします。「編集部のマルチスコープ」として生まれ変わり、さらにパワーアップして再スタートします。私を含めた編集部のメンバーが、交代で記事を執筆します。日々、取材に奔走する部員たちの生の声は、これまで以上に興味深くお読みいただけると確信しています(別に私がサボるためにリニューアルするわけではありません<笑>)。どうぞ、ご期待ください。
2009年7月8日|Posted by 高柳 正盛
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