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編集部のマルチスコープ

日本とはひと味ちがうNYのラーメン事情(前編)

3年ほど前に、このブログでニューヨークのラーメン事情について書かせていただいたが、あのころからすると、ニューヨークのラーメン事情はずいぶん様変わりした。様変わりには3つの側面がある。まず、地元の日系紙でラーメンの特集が組まれるほどにラーメン店が増えた。ラーメン山頭火、せたが屋、一風堂など、日本の人気ラーメンチェーンがニューヨークやニュージャージーにオープンしたが、ラーメン専門店の数自体がそれほど増えたわけではない。日本食レストランがラーメン人気に目をつけて、ラーメンをメニューに加えたり、メニューに載せていなかったのを載せるようになったので、ラーメンを食べられるところが増えているという印象だ。

ラーメンのヌーベル・キュイジーヌ化?

次にラーメンのヌーベル・キュイジーヌ化。去年の3月に「IPPUDO NY」がグランドオープンした。博多一風堂の力の源カンパニーが展開するラーメンダイニングレストラン、「五行」スタイルの店で、ラーメンを食べて帰るのではなく、ちょっと何かつまみながら飲んで、ラーメンで締めくくるというスタイルを提案している。おしゃれな店内で食べるにふさわしく、出てくるラーメンは器や盛りつけもきれいだ。

11月には季節のラーメンがメディアに紹介された。「タイガー担々麺」「こがし味噌」「トマトラーメン」の3種類(いずれも12ドル)で、「タイガー担々麺」はコリアンダーの風味が効いた担々麺で、ライムをちょっとしぼって食べる異国風ラーメン。「トマトラーメン」は見た目がスープスパゲッティかと思うような、トマトとモッツアレラがトッピングされた豚骨ラーメン。「こがし味噌」は日本の一風堂にもある人気メニューだそうだが、ほかの2品はIPPUDO NYだけの限定メニューだ。

だが、結局はトマトラーメンはメニューには載らなかった。アメリカ人に洋風のトマトラーメンはかえって新鮮みがないだろうという判断だったそうだ。こがし味噌はこちらでもまずまずの人気。IPPUDO NYでは、ニューヨーカーがどんなラーメンを求めているのかわからないので、今後も季節のラーメンをメニューに載せて、ニューヨーカーの反応を見る考えだ。

従来のニューヨークのラーメン店のほとんどは地元の製麺所で麺を調達している。そのため、日本で食べるラーメンの麺とは食感や風味がかなり違うことは、多くの日本人が感じていたことだ。そこで、IPPUDO NYではなるべく日本と同じものを出そうと、レストランの地下で自家製麺とスープを作るようにした。ニューヨークにはラーメンはのびないうちに食べたほうがおいしいということを知らない人が多いので、同店では麺がのびない工夫をしたり、麺を箸で上手に食べられないニューヨーカーのために、麺をのせて食べられるように、ひとまわり大きいレンゲを用意している。

昨年3月にニューヨークにオープンしたIPPUDO NY

日本には行ったことがないが、ラーメンは大好きだというカップル。話しながら食べているので、ラーメンがのびている・・・

2009年1月15日|Posted by 手代木 麻生(フリーライター)