異業種に学ぶ:カラオケ業界【後編】

異業種に学ぶ:カラオケ業界【後編】

喫煙・禁煙ルーム、喫煙ブースの設置をはじめ、多様化する客層に柔軟に対応するサービスを ——「ビッグエコー 新橋烏森口店」(東京・新橋)

2015年10月27日

主婦のランチからビジネスパーソンの宴会、結婚式の二次会などの大型パーティまで、幅広い用途で利用されるようになっているカラオケ店。最近では、喫煙・禁煙でルームを分けたり、フロア分煙を行う、喫煙ブースを設置するなど、喫煙者、非喫煙者双方に心地よい分煙環境の整備に積極的に取り組んでいる。後編では、「ビッグエコー」の新橋烏森口店で話を聞いた。

 宴会の二次会利用から、昼間の主婦やシニア層の利用、子供連れまで、大きく需要が変化しているカラオケ店。それに伴って、多様な客層の満足度を高めるための手段として、分煙環境の整備に取り組む店が増えている。前編で紹介した「コート・ダジュール 銀座コリドー店」(東京・銀座)と同様、様々なお客のニーズに対応すべく、分煙環境の整備に力を入れているのが、「ビッグエコー」(運営/第一興商 ビッグエコー事業運営部)だ。

 同社は、リピーターや店舗ごとのヘビーユーザーも多い。ビッグエコー運営管理課課長の前島昭裕氏は、分煙の取り組みについてこう話す。「カラオケといえば、タバコが吸える場所というのがこれまでのイメージでした。しかし、2003年くらいから徐々に禁煙を希望されるお客様の割合が増え、最近では主婦やシニア層のお客様が多い昼間の時間帯でその傾向が顕著です。私たちは、そういったニーズの変化にきめ細かく対応することで、分煙環境を含めた顧客満足度No.1を目指しています」。

第一興商のビッグエコー運営管理課課長の前島昭裕氏

第一興商のビッグエコー運営管理課課長の前島昭裕氏

 今回、事例として取り上げたのは、2015年2月にオープンした「ビッグエコー 新橋烏森口店」(東京・新橋)だ。ビルの1階にフロントがあり、3階から10階までがカラオケルームとなっている店舗は、全53室のうち喫煙ルームが26室、禁煙ルームが27室となっている。

カラオケ喫煙ルーム

カラオケ喫煙ルーム

 フロアのうち、4階、9階、10階は全室喫煙可。3階と8階は全室禁煙で、そのうち8階は女性専用(もしくはグループ内の女性の割合が高い場合に利用可)の「エレガンスフロア」となっている。喫煙・禁煙のルームが混在しているのは、5~7階。さらに、3階、5階、7階にはそれぞれ喫煙ブースを設置して、喫煙者がそのフロアで気兼ねなくタバコを吸える環境づくりをしている。このようにフロアごとに特徴づけを行うことで、喫煙者、非喫煙者双方の多様な要望に沿うきめ細かい対応ができるようにしている。

3階、5階、7階には喫煙ブースが設置されている

3階、5階、7階には喫煙ブースが設置されている

 用途に応じた部屋のバリエーションも豊富で、レストラン・ダイニング風の「レストランルーム」や、女子会向けの可愛らしい内装の「エレガントルーム」、ライブハウス風の雰囲気が楽しめる「ライブルーム」など、様々なタイプを用意。学生、主婦、シニア、ビジネスパーソンなど幅広い客層に支持されている。“歌って楽しむ”という、従来の利用動機だけでなく、食事やDVD鑑賞といった多目的な用途で来店するお客が増えたことで、よりサービスの充実が求められているといえるだろう。

可愛らしい内装のエレガントルーム

可愛らしい内装のエレガントルーム

ダイニング風のレストランルーム

ダイニング風のレストランルーム

 「ご来店されたら、まずフロントで喫煙、禁煙をはじめとしたご要望をきちんと確認し、それに合わせてお部屋をご用意します。昼の時間帯に比べて、食事の後などに利用されるビジネスパーソンが多い夜の時間帯は『喫煙ルーム希望』という方が増えますが、喫煙ルームが満室の場合でも、快適にタバコが吸えるブースのご用意があることでご納得いただけることがほとんどです」と、店長の永井和徳氏は話す。

店長の永井和徳氏

店長の永井和徳氏

 また、周囲にも「ビッグエコー」が4店舗あるため、随時その状況も把握しておき、お客の要望に沿ったルームが空いていれば他店舗に案内することもある。混雑する週末の夜などでも、お客を待たせることはなく、満足度の高いサービスを提供している。

 各ルームは、密閉された空間でもニオイが残りにくく、常に清潔で心地よい状態を保てるよう心がけている。たとえば喫煙ルームでは、お客が入れ替わるごとに清掃するほか、空気を循環させるエアコンの表面は週1回の拭き掃除を行い、フィルターは月1回洗浄することでニオイが残らないようにするほか、消臭スプレーも併用。「ニオイに関しては、タバコを吸う方でも気にされることが多いですから、ニオイが残らないようにするようスタッフの指導を徹底しています。インテリアも、ニオイがつきやすい素材のものは避けています」と永井氏。

 同社では現在、直営店での喫煙ルームの割合は約60%となっている。昼間の客層や利用動機の変化などに伴って、より幅広いお客の要望に応える形として、新店、リニューアル店、既存店などを含め、分煙を進めていく。「喫煙者、非喫煙者双方のお客様に窮屈な思いをさせない、今までと変わらず楽しんでいただけるような店づくりを目指します」(前島氏)。幅広いお客の“心地よさ”を追求する同社の取り組みは、飲食業界にとってもヒントとなりそうだ。

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