バーガーキング・ジャパンが挑戦し続ける「独自の価値を提供するための分煙」【後編】

バーガーキング・ジャパンが挑戦し続ける「独自の価値を提供するための分煙」【後編】

喫煙者は心地よく、非喫煙者は安心して過ごせる「大人の分煙」が支持される

2016年3月22日

米国・マイアミを本拠地に、世界各国に1万4000店もの店舗を展開する「バーガーキング®」。日本では、バーガーキング・ジャパンの運営のもと、各地に98店舗(2月末現在)を展開しており、“大人のハンバーガー店”として高い支持を受けている。その理由のひとつが、快適な分煙空間でもある。後編では、ビジネスパーソンに人気が高い「バーガーキング® 六本木店」のケースを紹介しつつ、同社がこだわる分煙スタイルを見ていこう。

「タバコを吸う方も吸わない方も、大切なお客様。可能な限り、すべてのお客様に安心してお食事を楽しんでいただけるような店づくりをすることが、我々のベーシックな考え方です」。
 前編において、バーガーキング・ジャパンのCOOで店舗開発本部長、FC事業本部長を兼任する神元誠司氏は、分煙を選んだ理由についてこう話した。

「バーガーキング®」は、20代から40代のお客が中心客層で、店内でビールも販売している。
 世界的に有名なハンバーガーチェーンのため、日本在住のビジネスパーソンや旅行者などの外国人客も多く訪れることも特徴だ。多言語対応のメニューを準備したり、お客の好みに応じてハンバーガーをカスタマイズできるなど、同店独特のサービスは外国人客にも好評で、分煙スタイルも好意的に受け入れられている。

 東京メトロ・都営地下鉄六本木駅と直結するビル内にある「バーガーキング® 六本木店」は、全219席のうち禁煙席181席、喫煙席38席が設けられている。店頭には、客席、喫煙席の席数を示した表示があり、喫煙者はもちろん非喫煙者も店に入る前に喫煙環境を把握できるようにすることで、より安心感を高めている。

 同店の店舗面積は363.84m2で、一般的なファストフード店と比べると全体的にゆったりとして寛(くつろ)げる空間をつくっていることも、“大人のハンバーガー店”と言われる所以(ゆえん)だ。その中で、喫煙エリアは97m2と、全体の約27%を占めている。

喫煙エリア。朝の出勤前や昼食後、帰宅前などニーズが高い

喫煙エリア。朝の出勤前や昼食後、帰宅前などニーズが高い

 店内に入ると、正面カウンターの右手にガラス張りの喫煙エリアがある。扉を開閉して中に入る仕切り型だが、明るく全面ガラス張りのため、利用する喫煙者に閉塞感や孤立感を感じさせないことがポイントだ。朝の出勤前や昼食後、帰宅前などの時間帯は特にビジネスパーソンの喫煙ニーズが高く、38席の喫煙エリアが満席になることも少なくない。

「喫煙席の設置に関しては、まず場所に配慮しています。喫煙席を通らないとトイレなどにいけない、というような造りにしないこと。さらに、非喫煙者の方が頻繁に通られる場所に喫煙席を設置しないように、ということも気をつけています。我々としては、立地によっては喫煙席を目立たせたい場合もあるのですが、喫煙者の方に気持ち良くタバコを吸っていただくためには、同時に非喫煙者の方への配慮を忘れないことが重要ですから」(神元氏)。

目隠しにより、非喫煙エリアから喫煙風景が目に入りにくくなる

目隠しにより、非喫煙エリアから喫煙風景が目に入りにくくなる

 たとえば、今回紹介した六本木店は、喫煙エリアが非喫煙エリアと隣接しているため、目隠しを取り付けることで、非喫煙者がその席を利用したときに喫煙エリアがダイレクトに目に入ってこないようにしている。喫煙者、非喫煙者双方において「どこまでが許容範囲か」を考えたうえで分煙環境を作ることが、同店の心地よさにつながっていると言えるだろう。

 喫煙エリアの設計に関しては、社外の分煙コンサルタントのアドバイスを受けた。
 同社では、タバコの煙やニオイが非喫煙エリアに流れにくいよう、喫煙エリア入口部分の風速と喫煙エリア内の排気風量について自社で基準値を設け、店舗の設計時に数値を計算。それに合わせて換気扇の設置台数などを決定するという流れをとっている。

 また、分煙に取り組むうえで、空調にも気を使う必要がある。
「排気が良すぎると、冷暖房の機能効率が悪くなってしまいお客様の居心地が悪くなるというデメリットもありますので、バランスに配慮して決定しています。また、喫煙席が満席になったり、一人ひとりの喫煙量が増えれば、当然喫煙エリア内の環境も変わってきますので、その場合は随時改善を行っています」と神元氏。

 喫煙者、非喫煙者が、常に心地よく過ごせる空間であることが大前提。そのため、換気扇を増設するといった措置のほか、2月に新たにオープンした「バーガーキング® 霞が関ビル店」では脱臭効果の高い「プラズマ脱臭機」を採用するなど、店舗に応じた対策に取組んでいる。

 快適な分煙環境を提供するためには、喫煙エリア内の定期的なメンテナンスも大切なポイント。換気扇フィルターは店舗のメンテナンススケジュールによってスタッフが清掃を行い、専門的なケアが必要なエアコン清掃は業者に委託している。

 また、同社では「10分〜15分に一回はスタッフが客席に出る」というルールを作っている。店内のチェックやメンテナンスを行うためだが、喫煙エリアに関してもそのルールに則ってチェックを行い、必要に応じて灰皿の交換、補充などを行う。
 さらに、学生客が多い立地の場合は、喫煙エリアに灰皿を用意せず、カウンターで要望に応じて渡すスタイルにすることで、未成年者の喫煙を防止する対策もとっている。

「分煙がきちんと守られていることは、喫煙者、非喫煙者どちらのお客様にとっても重要なことです。今後、喫煙環境に対するご要望はますます厳しくなると思いますが、双方のお客様の権利を守ったうえで、強い飲食店を作っていきたいと考えています」。

 排除するのではなく、共存する――愛される飲食店になるための同社の答えが、神元氏の言葉から強く伝わってきた。

神元 誠司(かみもと・せいじ)
株式会社 バーガーキング・ジャパン
COO 兼 店舗開発本部長 兼 FC事業本部長

1962年9月6日京都府生まれ。奈良県立短期大学商学部卒業後、日本マクドナルド株式会社入社。ビジネスコンサルタント、オペレーションコンサルタントを務め、経験を積む。同社を退社後、株式会社ラウンドワンにて執行役員経営企画室長、執行役員経営推進室長、株式会社ロッテリアにて執行役員営業部長兼トレーニング部長を務めた後、2010年6月、株式会社バーガーキング・ジャパン入社。現在に至る。

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