千葉県流山市の受動喫煙防止条例案が議会で否決

飲食店の経営悪化などが懸念材料に

2012年1月10日

千葉県流山市の市議会で受動喫煙防止条例案が否決された。可決されれば、市町村では全国で初めて屋内での喫煙についても規制する条例となるはずだった。条例案では、飲食店等の公共の施設に対して禁煙、もしくは分煙の努力義務が課される内容で検討されていたが、中小事業者への経営影響が懸念され否決された。今回の否決は、全国各地の自治体で議論が進められている受動喫煙防止条例の行方にも影響を与えそうだ。

市町村レベルで全国初の制定を目指していた千葉県流山市の受動喫煙防止条例案が、2011年12月16日に開かれた市議会において反対多数で否決された。

この条例案は、市が管理する施設は公園等も含めて全面禁煙とし、飲食店に対しては禁煙、もしくは分煙の努力義務を課すというもの。ただし、店舗の経営に対する配慮から、店舗面積が100m2以下の場合、条例の施行から2年間は適用を猶予し、居酒屋など酒類を提供する店は適用から除外するという内容だった。

11年9月に開催された市議会に条例案が提出されたものの、禁煙区域が広範囲に及ぶことや、飲食店などの経営に大きな影響を与えると考えられることから、議論がまとまらず継続審議となった。その後、教育福祉委員会に付託され、さらなる討論が進められていたが、それでも各委員の合意を得るには至らず、11年12月6日の委員会で反対4、賛成3で否決された。

受動喫煙防止条例案の採決が行われた流山市議会の様子

受動喫煙防止条例案の採決が行われた流山市議会の様子

委員会審議の後に開かれた11年12月16日の市議会本会議では、条例案に賛成する議員が「受動喫煙防止のために条例は必要。禁煙条例ではない」と主張したのに対し、反対する議員からは「分煙には多額の設備投資が必要なため、小規模店舗は実質的に禁煙とせざるを得ず、喫煙する客は市外の店へ流出してしまう。結果として、市内の飲食店の経営が悪化する」といった意見が述べられた。その後の市議会の採決では、反対16、賛成11となり、条例案は否決された。

市内の飲食店が加盟する流山市食品衛生協会の伊藤末子会長は、今回の条例案の否決について「当然のこと」と感想を述べ「不景気で苦しい時期なのに『喫煙者はお断り』などと言っていては飲食店の経営が悪化するのは目に見えています。そもそも、タバコのような嗜好品についてまで、条例で規制するのはいかがなものでしょうか。お店やお客様の判断に任すべきでは」と語る。

流山市の担当者は「受動喫煙の防止対策が必要という認識は議員の方々も共有していたと思うが、条例案の内容については賛否が分かれてしまった」と説明した。今回の否決で条例案はいったん廃案になる見込み。「今後の予定は白紙」と担当者はいう。

今回の条例案は分煙に関わる事業者負担がネックとなり否決されたものの、飲食店としては吸う人も吸わない人も“お客様”であることに変わりはない。時間分煙やエリア分煙、入店前にお店の喫煙環境がわかるように店頭表示を行うなど、費用のかからない自主的な取組みを行うことが必要だ。今後も全国各地の自治体で議論が進められている受動喫煙防止条例の動向には注視しながら、各店がお店の実態に沿った形で、双方のお客様に満足してもらう環境づくりを進めていくことが重要であろう。

ページトップへ戻る
日経レストランONLINE Specialは、ベンチャーサービス局企画編集センターが企画・編集しているコンテンツです。
Copyright © 2012 · Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved.