増加する外国人旅行者の受入れに向け、東京都が分煙環境整備の補助金制度を設立【後編】

増加する外国人旅行者の受入れに向け、東京都が分煙環境整備の補助金制度を設立【後編】

分煙コンサルタントの無料派遣を行い、より効率の良い分煙手法をアドバイス

2015年8月25日

東京都は、増加する外国人旅行者の受入れ態勢をさらに充実したものにすべく、分煙環境整備に対する補助金制度を設立し、2015年7月27日から申請を受け付けている。補助限度額は、1施設につき300万円まで(補助対象経費の総額のうち4/5の割合が上限)と高く、分煙環境を整備したい東京都の中小飲食店にとっては朗報だ。後編では、無料で利用できる、分煙コンサルタントの派遣サービスについても紹介する。

 前編からご紹介している、東京都の「外国人旅行者の受入れに向けた宿泊・飲食施設の分煙環境整備補助金」の制度。「この補助事業をきっかけに、外国人旅行者に『東京は快適だった』との印象をもってもらい、ぜひリピートしてほしいです。できるところから現状において実効性のある対策として、分煙環境の整備を進めていきます」と、東京都 産業労働局 観光部 事業調整担当課長の板倉広泰氏は説明する。“おもてなし”のひとつの施策としてこの補助事業が有効活用されることが期待されている。

 要件を満たせば、1施設につき300万円までの補助金(補助対象経費の総額のうち4/5の割合が上限となる)が交付されることも大きな魅力だ。
 補助の概要を振り返ると、
(1)外国人旅行者の受入れのために、多言語対応(たとえばホームページやメニュー、店頭表示などの外国語による表記)に取り組んでいる、または取り組もうとしていること。
(2)分煙環境を整備し、その後、東京都が行うアンケート調査や視察受入れ、事業PRなどに協力すること。
の2点だ。

 補助対象となる事業者は、飲食店の場合、東京都内の「資本金5000万円以下」または「常時使用する従業員数が50人以下」の中小事業者であることが条件である。フランチャイズ形式の加盟店でも条件を満たせば対象となる。その中でも、「店の心地よさを追求するうえで分煙には取り組みたいが、できるだけコストは抑えたい」と考えている中小の飲食店経営者にとっては、絶好のチャンスだろう。

 補助申請の受付は2015年7月27日からスタートしており、東京都による審査は申請の受付順となる。「補助金の申請書提出から交付決定までの期間」や、「分煙環境整備の実績報告書の提出(最終期限は2016年2月29日まで)から補助金額確定までの期間」などが約1カ月かかることも念頭に置き、準備を進めた方が良い。また、2015年度は総額10億円の予算となっており、その予算枠内で確実に補助金の交付を受けるためにも、早めに詳細を確認しておきたい。補助事業の詳細情報、申請書などは東京の観光公式サイト「GO TOKYO」で確認・ダウンロードできる。
※「GO TOKYO」http://www.gotokyo.org/jp/administration/h27/20150717.html

補助金の交付までの流れ

補助金の交付までの流れ

 今回の分煙環境整備補助金の制度では、東京都と日本たばこ産業(JT)が事業実施協力し、希望者に分煙コンサルタントを無料で派遣することも大きな特徴だ。「分煙に取り組みたいけれど、具体的にどのようにしたらよいか分からない」とった、分煙対策を検討中の事業者もあるだろう。申請書類を提出する前のタイミングで、分煙コンサルタントの派遣を依頼すれば、現状に応じた分煙環境整備に関する様々な相談、技術的なアドバイスを無料で受けることが可能だ。

 具体的な分煙環境整備の要件としては、(1)喫煙室の設置、(2)エリア分煙、(3)フロア分煙の3つがある。喫煙室の場合は、入り口から喫煙室内に向かう風速が0.2m/秒以上であることなどの条件が必要とされる。エリア分煙とフロア分煙の場合には、粉じん濃度(0.15mg/m3以下)または、必要換気量(70.3×席数 m3/h以上)などが条件として設定されている。まず自店にはどの方法が適しているのか、どのように分煙環境を整備したら効率的かといった判断をする際に、分煙コンサルタントへの相談は役立ちそうだ。

 分煙コンサルタントは店舗や施設を直接訪問して実際の状況を把握し、効率のよい分煙手法はもとより、たとえば室内に浮遊する粉じん濃度の低減や、審査に必要な風速の確保といった具体的な解決法の提案、さらには東京都への補助申請の助言まできめ細かいケアを行う。特に、風速や粉じん濃度、必要換気量は、個々の店舗内の空調や換気扇の能力などさまざまな要因に左右されるので、専門家である分煙コンサルタントの助けを上手に活用したい。分煙環境整備の工事後に、実際に数値を計測してみたら想定を下回ってしまった、といったリスクを軽減できるだろう。

 分煙コンサルタントを派遣する日本たばこ産業は、「ご要望があれば何度でも丁寧にアドバイスを行いますので、ぜひ気軽にご相談ください」と、問い合わせを受け付け中だ。
※分煙コンサルタントの派遣に関するお問い合わせは、日本たばこ産業 お客様相談センターまで。TEL:03-5572-3336(受付時間:平日9:00~17:40 休業日:土日祝日、創立記念日〔6月最初の平日〕、12月30日~1月4日)。

 東京五輪を5年後に控え、国内の飲食業界においてもグローバル化に対応すべき時代になってきたといえる。そんな中で、今回の補助金制度の活用は、他者を思いやる「おもてなし」のひとつとして、“分煙”を世界に発信するさきがけとなる可能性もある。

ページトップへ戻る
日経レストランONLINE Specialは、ベンチャーサービス局企画編集センターが企画・編集しているコンテンツです。
Copyright © 2012 · Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved.