増加する外国人旅行者の受入れに向け、東京都が分煙環境整備の補助金制度を設立【前編】

増加する外国人旅行者の受入れに向け、東京都が分煙環境整備の補助金制度を設立【前編】

補助限度額は1施設につき300万円まで!
飲食店や宿泊施設の分煙対策を支援

2015年8月18日

東京都は、増加する外国人旅行者がより快適にすごせることを目的として、飲食店や宿泊施設の分煙環境整備に対する補助金制度を新たに設立した。ホームページやメニューなどの多言語対応(外国語表記)に既に取り組んでいる、またはこれから取り組もうとしていることなどが補助を受けるための条件となる。この制度の概要や目的などを、東京都の担当者にお聞きした。

 2015年7月27日から、東京都の「外国人旅行者の受入れに向けた宿泊・飲食施設の分煙環境整備補助金」制度を利用するための申請の募集がスタートした。これは、外国人旅行者がより快適に飲食店や宿泊施設を利用できるよう、事業者が行う分煙環境の整備に対する補助事業で、要件を満たせば1施設につき300万円までの補助金(補助対象経費の総額のうち4/5の割合が上限)が交付されるというものだ。

 日本政府観光局(JNTO)が発表した日本への外国人旅行者数は、2013年(1月〜12月)に約1036万人、2014年には約1341万人に増加。2015年は上半期(1月〜6月)で、すでに900万人を超えており、年々増加し続けている(出典:日本政府観光局〔JNTO〕「訪日外客数」)。

 とりわけ、東京都を訪れる外国人旅行者の数は、2014年1月〜12月で約887万人に上り、前年比30.3%増となった(出典:東京都「平成26年東京都観光客数等実態調査」)。外国人旅行者が訪れる高い割合と増加率を見ても、東京都における飲食店やホテル、旅館などのサービス施設における外国人客への対応は急務だといえるだろう。

 こうした中、今回の分煙環境整備補助金の制度は、年々増加する外国人客に向けて「滞在中、少しでも快適にすごしてもらうことで、イメージアップを図りたい」と考える飲食店にとって朗報だ。東京都 産業労働局 観光部 事業調整担当課長の板倉広泰氏は、「日本政府観光局(JNTO)が行った調査では、外国人旅行者が訪日した際、不満を感じる点のひとつとして、喫煙環境に関するものも入っていました。東京五輪も見据え、日本の“おもてなし”の一つとして、東京都でもできるところから分煙対策を支援していきたいと考え、今回の補助事業を開始しました」と説明する。

東京都 産業労働局 観光部 事業調整担当課長の板倉広泰氏

東京都 産業労働局 観光部 事業調整担当課長の板倉広泰氏

 補助金の交付を受けるための要件は、2つある。(1)外国人旅行者の受入れのために、多言語対応(たとえばホームページやメニューなどの外国語による表記)に取り組んでいる、または取り組もうとしていること。(2)分煙環境を整備して、その後、東京都が行うアンケート調査や視察の受入れ、事業PRなどに協力すること、だ。

 施設としては、東京都内の飲食店と宿泊施設が補助金の交付対象となる。ただし、飲食店の場合は、「資本金5000万円以下」または「常時使用する従業員数が50人以下」のどちらか一つの条件を満たす中小企業者であることや、宿泊施設での補助対象は、「ロビーやレストランなどの不特定多数の宿泊客が利用できる施設に限る(客室は含まない)」などの細則的な条件が付帯する。

 補助対象となる経費は、分煙環境の整備に関して東京都が必要と認めるコストが該当する。分煙環境には「喫煙室の設置」と「エリア分煙」、「フロア分煙」があり、換気量など一定条件を満たさなければならない。具体的には、それらの設備費や工費などが補助の対象となる。※補助事業の詳細な情報や申請書は、東京の観光公式サイト「GO TOKYO」(http://www.gotokyo.org/jp/administration/h27/20150717.html)で確認・ダウンロードできる。

東京の観光公式サイト「GO TOKYO」のトップページ(日本語表記の選択時)

東京の観光公式サイト「GO TOKYO」のトップページ(日本語表記の選択時)

 今回の補助事業の大きな特徴は、やはり「多言語対応に取り組んでいる、または取り組もうとしている」という要件だ。外国語表記することで多言語対応として当てはまる例は、ホームページでの店舗情報やメニューの紹介、メニューブックの料理名や内容、店頭表示(看板、黒板、ステッカーなど)をはじめ、宿泊施設では室内に設置してあるものの使い方、施設の周辺案内やガイドブックなどだ。外国人客が訪れた際に快適にすごせるような取り組みが対象となる。

 板倉氏は「事業者が、自身の“できる範囲で”多言語対応に取り組んでいること、または現在は行っていないがこれから取り組もうという意欲をしっかりと持っていることが重要」と補足した。「具体的な事例に関しては、施設によってケース・バイ・ケースですので遠慮なくお問い合わせください」(東京都 産業労働局 観光部 受入環境課 課長代理〔環境整備推進担当〕の山中郷子氏)という。

東京都 産業労働局 観光部 受入環境課 課長代理(環境整備推進担当)の山中郷子氏

東京都 産業労働局 観光部 受入環境課 課長代理(環境整備推進担当)の山中郷子氏

 東京都では、12の言語に対応した多言語メニュー作成支援ウェブサイト「EAT 東京」を運営し、多言語対応に取り組む事業者をサポートしており、このサイトの利用も多言語対応の一環につながるだろう。
※「EAT 東京」http://www.menu-tokyo.jp/menu/

 また、最初に述べたように補助率と補助限度額がそれぞれ、補助対象経費の総額の4/5以内で、1施設につき300万円までと高いことも特徴的だ。「来店客のために分煙環境を整えたいが、コスト面のハードルが高い」と考えている飲食店、宿泊施設にとっては大きなメリットとなる。

 「この補助事業をきっかけとして、外国人旅行者に『東京は快適だった』と印象づけ、ぜひリピートにつながってほしい」と板倉氏は話す。

 後編では、特徴のひとつである「分煙コンサルタント」の派遣などについても紹介する。

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