訪日外国人観光客への「おもてなし」として分煙を考える【後編】

訪日外国人観光客への「おもてなし」として分煙を考える【後編】

入店時のケア、しっかりとした分煙ルールで日本の飲食店の“心地良さ”を訴求 ——「すしざんまい 別館」(東京・築地)

2015年11月24日

年々増加する、訪日外国人観光客に対する“おもてなし”として、飲食店における分煙環境の整備はひとつの大きなアピール材料となっている。前編に引き続き紹介する「すしざんまい」(東京・築地)では、店内の分煙環境の整備だけでなく、入店時のケアなどを含めてきめ細かいサービスで外国人観光客はもちろん既存の日本人客からも高い支持を得ている。後編では、「すしざんまい 別館」での具体的なサービスを紹介しよう。

 日本を訪れる外国人観光客のうち、東京都を訪れる外国人旅行者は7割近い(2014年の例)。飲食店をはじめとするサービス施設では、多言語対応や国別・宗教別のメニュー対応など、年々増加する外国人客に向けたサービスを強化することが他店との差別化ポイントともなっている。分煙環境の整備も、日本が旅行先として評価されるひとつの要素だ。

 売上の3割を占めるという看板商品のマグロを中心に、全国各地から届く新鮮な魚介を使った握り寿司や海鮮丼など、多彩なメニューがリーズナブルな価格で楽しめることで、外国人観光客のリピーターも多数訪れるのが、築地場外市場に店を構える「すしざんまい 別館」。

 同店は24時間営業。今年の2月までは全フロア(1階、2階、全90席)で7時〜23時までが全席禁煙、23時〜翌7時までを全面喫煙可にしていたが、3月以降は平日(月〜金曜)のみ2階席を7時〜17時まで禁煙、それ以降の時間帯は全面喫煙可にしている。

 時間帯分煙とフロア分煙を組み合わせたこの対応は、ランチタイムなど日中や休日に多く訪れる家族連れのお客をはじめ、夜の時間帯は「酒を飲みながらタバコを吸いたい」というお客の需要にも応えるサービスとして好評を得ているという。

 同店が幅広いお客に満足度の高いサービスを提供するポイントとして、店長の佐々木優治氏は「外国人のお客様、日本人のお客様に関わらず、まず入店時にカウンターかテーブル席かなど席の好みと、喫煙・禁煙のご希望は必ず確認し、それに合わせてご案内することが基本中の基本です」と話す。

カウンター席(左)かテーブル席(右)かなどの希望を入店時に必ず確認

カウンター席(左)かテーブル席(右)かなどの希望を入店時に必ず確認

 外国人客の場合は、自国での食に関する慣習の違いがあること、日本人に比べて嗜好や主張がはっきりしていることなどを踏まえることが必要。最初にしっかりと要望を聞いて店のスタンスを伝えたうえでサービスをしないと、トラブルにつながる可能性もあるからだ。

 外国人観光客の中でも、中国人を中心としたアジア圏のお客と、欧米のお客では全く要望が違うという。

 「欧米のお客様は、魚をおろしたり寿司を握ったりする様子をライブで楽しみたいという理由でカウンター席をご希望される方が多いですが、中国人のお客様は円卓に座って大勢で食事を楽しむ慣習からか、テーブル席を希望される割合が高いです」(佐々木氏)。

 食事の際の喫煙に対する認識も、アジア圏と欧米のお客では大きく異なる。同店でも、中国人のお客が「客席でタバコを吸いたい」と希望するケースが多いのに対して、欧米人のお客は食事をするスペースでタバコを吸うことを控える傾向が強い。外国人客、日本人客を含めて多様な対応が必要とされる中で、同店の分煙スタイルは心地良い食事環境を作るためのポイントとして、高く評価されていると言えるだろう。

 また、同店は厨房、フロア共に外国語を話せるスタッフが常駐しており、来店する外国人客とコミュニケーションを取りつつきめ細かいサービスが行えることが強みだ。

 店頭に立って、お客の誘導役を務めているスタッフの川村洋氏もその一人。川村氏は、英語のほか中国語、韓国語などでもサービスを行う。

店頭で誘導スタッフがお客の要望を聞く

店頭で誘導スタッフがお客の要望を聞く

 「外国人のお客様には、まず最初に『どちらからいらしたのですか』とご出身を聞くことでコミュニケーションをとり、それからお席のご案内などのサービスをしています。また、お食事が終わってお帰りになる時には、そのお客様の自国語で『またおいでください』とお見送りをします。そういう時は、皆さん特にうれしそうな顔をされますね」と川村氏。

 基本は英会話だが、挨拶だけは数カ国語の言い方を勉強しているという川村氏。こういったお客目線のちょっとした気配りも、店のイメージアップにつながっている。

 「すしざんまい」を運営する喜代村では、売上アップの核として今後も外国人観光客に向けたサービスを広げていく予定だ。分煙環境も、立地や店舗の状況、利用客の要望などに配慮しながら整え「タバコを吸う方にも吸わない方にも満足していただけるような空間作りを目指したい」という。

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