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クレーム担当者の奮闘日記

アレルギーで子供が倒れた

生死に関わる食物アレルギーへの対応ミス

2007年5月10日

文=水野 孝彦
イラスト=蛭子 能収

このコラムは、飲食店に降りかかる数多くのクレームと、その解決策を、ある外食チェーンのクレーム担当者の目線から描いた。日記形式の「クレーム対応マニュアル」である。

○月×日 午後
カレーを食べてお子様が倒れた!

「子供がおたくの店でカレーを食べて倒れた。うちの息子が死んだらどうするんだ!」──。

この数日、私は重大なクレームへの善後策に追われていた。うちの料理を食べて店を出たお子様が倒れ、入院したというのだ。

原因は食物アレルギー。皮膚が腫れたり、じんましん、せき、下痢などを引き起こす。さらにアナフィラキシー・ショックと呼ばれる状態になると、呼吸困難や不整脈などが生じ、最悪の場合、ショック死の可能性もあるという。

このお子様にもアナフィラキシー・ショックが生じ、病院に運ばれた時には意識が朦朧とした状態だったという。幸い命に別状はなかったが、これまで経験したことのないタイプのクレームに私は驚いた。

しかし、子供のアレルギーは親が知っているはず。なぜアレルギー反応が生じる料理を食べたのか?

原因究明のため、店長とお客様の両方から詳しく話を聞いて、店側の凡ミスが思わぬ事態を招いたことが分かった。子供の小麦アレルギーに悩むお客様は注文時に「この店のカレーは、小麦を使っていますか?」と質問した。ところが応対したスタッフは、一般的にカレーに小麦が使われていることを知らず、自分の思い込みで、「小麦は使っていません」と答えてしまったのだ。

従業員の知識不足は致命的だったが、最大の問題は確認作業を怠ったことだ。当チェーンでは、アレルギーに悩むお客様からの問い合わせに備え、アレルギーを引き起こす可能性がある25品目の食材について、どのメニューで使われているかが分かる一覧表を作成し、店舗に置いている。このリストで確認さえしてくれていれば、誤った情報をお客様に伝えずに済んだはずだ。

食品衛生法で加工食品については、アレルギー物質の表示が義務付けられている。飲食店に表示義務はないが、消費者の関心が高まることや社会的な責任を考えて一覧表を作った。しかし、使ってくれなければ意味がない。食物アレルギーは、幼少期に多く見られ、乳児で10%、成人でも1〜2%の人が悩んでいると言われている。その中にはきっと、当チェーンのお客様もたくさんいる。再発防止策は実効性のあるものにしなければならない。

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