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クレーム担当者の奮闘日記

トイレのトラブル対策

「密室」だからこそ要注意

2008年3月13日

文=水野 孝彦(日経レストラン)
イラスト=蛭子 能収

このコラムでは、架空の外食企業のクレーム対応担当者の日常を通して、最善のクレーム対応を考えていきます。

○月×日 夕方
トイレでの忘れ物

「化粧室を利用した時に時計を置き忘れたので返してほしい」。

先日、○×店を利用したという女性客から、こんな電話が入った。

この女性客の話によれば、時計は新品なら50万円はする高級腕時計で、店を出てしばらくしてから、トイレに置き忘れたのに気が付いたという。

その時点で本部に高級腕時計の忘れ物があったという連絡は入っていなかったが、至急店舗に確認して折り返し連絡をします、と約束した。

そして、事実関係を確認するため、○×店の店長A君に電話を掛けてみたが、時計の落とし物・忘れ物はなかったという。

私はA君に再度、トイレ以外も含めて店内に落とし物や忘れ物がないか確認するようお願いした。従業員にも、時計の忘れ物があるかもしれないので、注意して片付けや掃除をするように伝えてもらった。時計が見つかる可能性は少ないが、店側の誠意を示すには、やれることをやるしかない。

私は、先ほどの女性客に「非常に残念ですが、店内を確認したところ、時計の忘れ物は見つかりませんでした」とお伝えした。さらに、引き続き店内を探し、見つかった場合はすぐにご連絡を差し上げますと付け加えた。

すると、女性客は「後から化粧室を利用したお客か、清掃に入った従業員が盗ったに違いないのだから、店で弁償しなさいよ」と怒り出した。

トイレで発生するクレームの特徴は、「密室」で起きることにある。そこで何が起きたのか、当事者以外には分からない。お客様を疑いたくはないが、今回のケースだって、本当に時計をトイレに置き忘れたのか、高級時計の代金に相当する金品を騙し取るつもりなのか、あるいは何かの思い違いか。私にも判断が付かなかった。

いずれにしても、所持品の管理はお客様が自分の責任で行うことであって、紛失したからといって、店側に損害を賠償する義務はない。私はそのことをお伝えし、警察に遺失物の届け出をすることを勧めて電話を終えた。その後何回か、「まだ時計は見つからないの?」という問い合わせがあったが、この数日は電話が掛かってこない。無事に解決しているとよいのだが……。

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