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クレーム担当者の奮闘日記

クレーム客への上手な電話対応

最初の一言、二言が勝負!

2008年5月22日

文=水野 孝彦(日経レストラン)
イラスト=蛭子 能収

このコラムでは、架空の外食企業のクレーム対応担当者の日常を通して、最善のクレーム対応を考えていきます。

○月×日 午後
質問には要注意

「おたくの会社、どんな方針で従業員を教育してるの?」。午後1時過ぎ、あるお客様がお客様相談室に電話をかけてきた。

電話を受けたのは、私の部下で新人パートのA子さん。A子さんは研修で教えた当社の方針をそのままお客様に伝えた。「当チェーンでは、お客様の笑顔と笑い声を絶やさない……」。

すると、お客様はいきなり怒鳴った。「だったら、何でお客に迷惑をかけたのに謝らない奴がいるんだよ!」。お客様によれば、ある店でビールを注文したところ、15分以上待たされたうえに、謝罪の言葉一つなかった。そのうえ、テーブルにビールを乱暴に置かれたという。

クレームの電話だと気が付いて平身低頭のA子さん。お客様に不快な思いをさせたことをお詫びした後、「しかるべきものから、改めてご連絡いたします」と伝えて電話を終えた。

店舗の視察を終えて、私がお客様相談室に戻ると、A子さんが今回のトラブルを報告してくれた。

「でも、質問されたから答えただけなのに、いきなり怒鳴ることはないじゃないですか」とA子さんは少し落ち込んだ様子だ。

「運が悪かったね。ところで、最初質問されたときのお客様の声のトーンや話しぶりに気になるところはなかった?」と私。

「そういえば、少し怒っているような、イライラしている感じはありました」とA子さん。

「なるほど。今度からは何か質問されたときに相手が怒っているかもしれない、と感じたら、質問に答える前に『何か不手際がありましたでしょうか?』と逆に質問するといいね。スムーズに本題に入れるはずだよ」と私はアドバイスした。

お客様が怒鳴ったのは「どうしてこの怒りを分かってくれないんだ!」という気持ちが爆発したからだ。相手が不満を口にする前に「何か不手際がありましたでしょうか?」と尋ね、自分はお客様の気持ちを理解し、共感できる人間だと示せれば、怒鳴りつけられるリスクはかなり減らせるのだ。

一般的にお客様相談室に寄せられる苦情電話は、サービスの不手際にスタッフの対応のまずさが加わった2次クレームが多い。A子さんの例ではないが、電話での話し合いがスムーズに進むかどうかは、最初の一言、二言に懸かっている。お客様はほんの短いやり取りの間に、電話の応対者が信頼に値する人間かどうかを判断するからだ。

電話でのクレーム対応のコツを学ぶことは、店舗でも役立つはず。電話応対だけでなく、通常のクレーム対応の参考にもなる。私は次の店長会議で話をすることにした。

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