「日経レストランONLINE」は、「日経レストラン」の休刊に伴い、3月末日をもって更新を休止することになりました。長らくご支援を賜りました皆様に厚く御礼を申し上げます。

クレーム担当者の奮闘日記

奇声を発するお客、暴言を吐くお客

2008年7月24日

文=水野 孝彦(日経レストラン)
イラスト=蛭子 能収

このコラムでは、架空の外食企業のクレーム対応担当者の日常を通して、最善のクレーム対応を考えていきます。

○月×日 午後
奇声を発するお客には

「死んでしまえ」
「ギャー」
「私は神の使い…」──。

ある店に、店内で奇声や意味不明の言葉を発するお客様がやってくるようになった。

このお客様は中高年の女性。「周囲のお客様にご迷惑を掛けるので静かにしてください」と店の時間帯責任者が何回も注意したが聞いてもらえない。逆に興奮させてしまうだけだった。そして、何時間か店に居座った後、帰っていく。そんなことを何日間か既に繰り返していた。

困った店長のA君から私のもとに電話が入ったのは、数日前のことだった。

実は、こうしたトラブルは外食チェーンではたまに起きることで、やるべきことは決まっている。

周囲のお客様にご迷惑を掛ける人には、その行為を速やかにやめていただく。それが聞き入れてもらえない場合は、店から出て行ってもらうことだ。

私は店長のA君に、警察に来てもらうよう連絡することを指示した。

「警察ですか?」と少し驚くA君。「やむを得ない」と私。この女性客は大声で「死んでしまえ」などと周囲に暴言を吐いている。お客様が身の危険を感じて当然の状態だった。

こうした場合、お客様の身の安全を守るためには、警察の力を借りざるを得ない。そして大切なのは可能な限り、店内での行動を録画するか録音し、証拠として残しておくこと。ちなみに相手の同意なく録音や録画をしたからといって、プライバシーの侵害にはならない。

完全に常軌を逸した行動をしていたのに、警察が来ると、おとなしくなってしまう場合もあるからで、分かりやすい証拠があると警察の方々も動きやすい。

通報後、A君の店に来た警察の方々が、この女性客を親御さんのもとに送り届けてくれた。その親御さんからA君は丁寧に謝罪され、二度と店には行かせないと約束してくれたそうだ。

この事件以降、例の女性客は店に来なくなったとA君から連絡が入った。親御さんの苦悩を思うと同情を禁じ得ないが、これで店を守れたと正直、ほっとしている。

Next: 想定外のクレーム客

次のページへ
どうしてくれる!? 店長1万人のクレーム対応術

どうしてくれる!? 店長1万人のクレーム対応術

37のトラブルから学ぶクレーム対応術

外食大手23社が磨きあげたトラブル解決の決定版!
よくあるクレームへの対策から悪質なクレーマーの撃退まで、豊富な事例と解決策がこの1冊に。