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クレーム担当者の奮闘日記

食材への質問はアレルギーを疑え

表示義務の拡大で関心が高まる

2008年8月28日

文=水野 孝彦(日経レストラン)
イラスト=蛭子 能収

このコラムでは、架空の外食企業のクレーム対応担当者の日常を通して、最善のクレーム対応を考えていきます。

○月×日 午後
海老を食べてじんましんに

「おたくの店で食事をしてから、じんましんになってしまった。料理に何か変なものが入っていたのでは」──。

先日、あるお客様からこんな電話が入った。

じんましんを訴えるお客様に私は「お体が心配ですので、病院に行かれることをお勧めします」と伝えた。

ちなみに、有償苦情(食事が原因で体調不良になったというクレーム)を訴えるお客にいたわりの言葉を掛けるのは当然としても、「病院へ行くことを勧める」かどうかは、外食チェーンによって対応が分かれる。

対応が異なるのは、店側に体調不良の原因がなくても「お前が病院へ行けと言ったんだろう」などと、後から治療代金を請求してくる理不尽な人が結構いるためだ。もちろん病院に行くことを勧めたとしても、体調不良との因果関係が店側になければ、治療代金を支払う必要がないのは当然のこと。また、常識的な人なら店側に治療代金を請求してきたりはしないだろう。

電話のやり取りから約2週間が経過した今日、前述のお客様から再び連絡が入った。

「じんましんは食物アレルギーが原因でした。お騒がせしました。」

病院で検査を受けたところ、海老と蟹へのアレルギー体質だったことが分かったそうだ。今まで気が付かなかったが、何らかの理由で症状が出るようになり、そのことを知らずに、海老や蟹の入った料理を店で食べて、アレルギー反応が出てしまったのだろう。

今回のケースでは、当然ながら店側に非はない。しかし、自分のアレルギー体質に気が付いていない人は、相当数いるはずで、今後もこうしたトラブルは起こり得る。

食品衛生法では、加工食品についてアレルギー物質の表示が義務付けられている。もっとも飲食店に表示義務はないのだが、消費者の関心の高さや社会的な責任を考え、大手外食チェーンを中心に、使用食材の中にアレルギー物質が含まれているかどうかについて、積極的に情報を開示しているところは多い。

その食品衛生法では、これまで「卵」「小麦」「乳」「落花生」「そば」の5つを「特定原材料」とし、加工食品の原材料に含まれている場合に表示することを義務付けていた。その一方で、「イカ」「大豆」など20品目についても可能な限り表示することを求めていたのだが、その中の「海老」と「蟹」が、あらたに「特定原材料」に加わる。そのため表示を義務付けられる品目の数は7つに増加する(厚生労働省が食品衛生法の施行規則を6月中にも改正する予定)。

今回のようなケースは防ぎようがないが、表示義務品目の増加で、食物アレルギーへの関心はより高まるはず。その分トラブルも起こりやすくなるだろう。私はあらためて食物アレルギーについて考えてみることにした。

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